やましん防災ナビ
「防災の日」を前に―その時、備えは〈上〉 身近なものでアイデアグッズ
2015/08/30

 「天災は忘れたころにやってくる」。その言葉を知っていても、どれだけの人が事前の備えをしているだろうか。自宅にいようが出先だろうが、災害は突然、発生する。生きるために一刻を争う事態。何も持たずに逃げることになるかもしれない。電気や水道、ガスなど生活インフラが断たれ、物資も不足する中をいかにして乗り切るか。赤ちゃんやお年寄りをどうやって守るか。9月1日の「防災の日」を前に考える。

 東日本大震災のような巨大地震が発生して家屋が損傷したり、電気や水道などのインフラが途切れたりした場合、復旧するまでの間、身の回りにあるもので暖を取ったり、雨風をしのいだりしなくてはならない。キーワードとなるのが保温性と防水性。特に新聞紙、段ボール箱、ビニール製のごみ袋は重宝する。専門家が勧めるアイデア防災グッズを紹介する。

新聞紙・段ボール

 着の身着のままで避難した場合、重要なのが寒さ対策だ。毛布などが提供されるまでは、自らの工夫で寒さをしのがなければならない。山形市市民防災センターの水野俊彦主任は「新聞紙と段ボールが役に立つ」と話す。

 新聞紙は肌着の上に巻き付けるだけで防寒具になるという。ポイントは「クシャクシャにすること」。体と紙の間に空気の層ができ、保温性が一層、高まる。段ボール紙は、それ自体が空気の層を持っているため断熱効果が期待できる。床に敷いたり、居住スペースを囲んだりすれば温かい空間を確保できる。

 倒壊した建物の破片などによる、けが対策も大切。大地震の後は室内に散乱したガラスの破片などを踏んで負傷する恐れがある。避難する際、履物を用意できなかった場合にお勧めしたいのが新聞紙で作るスリッパ。見開き1枚を使って簡単に作ることができる。見開きを半分に閉じ、背の部分側から3分の1を外側に折る。中央に向けて上下を折り、さらに隙間に入れ込みながら重ね、ひっくり返せば完成。

ビニール袋

 雨や浸水で、体がぬれるのは体力温存の大敵だ。「体温が低下し、体力消耗が早まる」と水野主任。袋の底を上にし、首と腕を通す穴を開ければ雨具の代替になる。ごみ袋を足元にかぶせて縛れば簡易長靴に。小さい袋で靴下をすっぽり覆う状態にしてから靴を履き、口をテープで留めると足を快適に保つことができる。

 災害現場で飲料水は貴重だ。調理で使う際は極力、節水に努めたい。ビニール袋はこうした用途でも役に立つ。2重にした袋に洗った米と水を入れ、空気を抜いて口を閉める。鍋で30分ほど火を通せばご飯が完成。鍋の湯を汚さず、別の用途に使うことができる。場合によっては、ゆでる水は飲料水以外でも調理可能だ。

 食器はチラシや新聞で作る折り紙のくず入れを応用。ラップやポリ袋をかぶせて食事を載せる。ラップなどを取り換えるだけで繰り返し使える。使い捨てなので節水にもなる。

 「経験がいざというときの心の余裕につながる」と水野主任。地域の避難訓練などに積極的に参加し、シミュレーションすることが大事だという。地域の訓練に参加できなければ同センターで災害体験や対処法の指導も受けられる。「いざというときに知識を生かせるよう、体で覚えておくことが大切だ」と指摘した。