やましん防災ナビ
「防災の日」を前に―その時、備えは〈中〉 乳児、高齢者どう支援
2015/08/30

 「災害後に母乳が出なくなることがある」。そう話すのは県助産師会の斎藤範子会長。災害への不安だけではなく、避難所の環境がストレスとなり、影響するという。人の目が気になる。周囲に迷惑を掛けていないかと神経をとがらせる-。「とてもリラックスできる状況ではない」と指摘する。

スプーンや紙コップで授乳

 東日本大震災発生後、山形市総合スポーツセンターに設置された避難所も当初、プライバシーへの配慮が足りなかったという。女性からの要望を受け、授乳室の設置や、家族ごとに空間を間仕切りするなど配慮された。斎藤会長は「スタッフが男性だと気付きにくい問題だ」と話す。

 母乳が出ない場合でも、災害時は安易に哺乳瓶を使うことはできない。1歳未満の乳児は菌の感染に弱い。哺乳瓶の消毒は必須だが、水道などが使えなければ困難。国連児童基金(ユニセフ)東京事務所などが2011年4月に発表した「災害時の乳幼児栄養に関する指針」も「清潔に保つことは難しい」として人工乳首の使用を避けるよう指摘している。

 こうした非常時に同会が勧めるのが、使い捨ての紙コップやスプーンを使った授乳方法。少量のミルクを入れたコップやスプーンを下唇に触れさせれば自然と飲み始める。哺乳瓶に比べて時間がかかり、ミルクもたくさんこぼれるが「焦らない。赤ちゃんには吸う力がある。慣れれば大丈夫」と斎藤会長。赤ちゃんは必要な量を飲むと口を閉じる。それ以上無理に飲ませることはないという。

 ケープなどで覆って赤ちゃんを安心させることも必要。斎藤会長は「赤ちゃんにとってお母さんがリラックスしていることが何より大切。気持ちは連動している」と笑みを浮かべる。

レジ袋でおむつ

 衛生面で心配なのが排せつへの対応だ。介護が必要な高齢者や乳児にとって紙おむつは必需品だが、山形市市民防災センターによると、災害の規模が大きければ物資が届き始めるまで数日を要する。同センターは「持ち手付きのレジ袋とタオルなどの綿製の布があれば簡易おむつとして代用できる」と説明する。

 袋の両脇と持ち手の輪を切って縦長の1枚にする。後は「布おむつ」を使う要領と同じ。タオルを載せて体の下に敷き、下腹部にかぶせる。端を折り返して長さを調節し、腰の辺りで持ち手を結ぶ。

 蒸れないよう小まめに開放しなければならないが、袋の大きさを変えれば子どもから大人まで対応できる。ペットボトルのふたに小穴を開けた簡易シャワーを使うなどして体を定期的に洗うことで、より清潔に保つことができる。

 自力でトイレに行けるお年寄りにも気配りを。「高齢者は環境の変化に対応しにくく、我慢してしまう」と同センター。便秘やぼうこう炎、水分摂取を控えることによる脱水症などを起こす心配がある。災害弱者に配慮した環境づくりが重要だが「家族らの声掛けや、周囲の協力が何より大事だ」と指摘する。