やましん防災ナビ
「防災の日」を前に―その時、備えは〈下〉 ペットは家族、一緒に避難「安全安心」
2015/09/01

 津波や原子力災害の発生で住民が緊急避難を余儀なくされた東日本大震災。多くのペットが取り残され、町をさまよった。避難所内でトラブルを招くことも。当時を教訓に環境省が2013年にまとめた「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」は飼い主に対し、原則ペットと共に避難することを求めている。自治体にも対策を促しているが、県内では市町村ごとにばらつきがある。

対策にばらつき

 山形新聞が各市町村に聞き取りした結果、ペットの同行避難を「受け入れる」「ニーズがあれば」と答えたのは酒田、新庄、寒河江、庄内、白鷹の5市町。人の居住スペースから離し、屋外で管理することなどとしている。

 具体策はまだでも「断ることは考えられない」と、米沢、南陽市など15市町村は状況に応じて対処すると回答。ペット同行用の避難所を「個別に設ける」とする市町村はなかった。今後は場所の確保や動物が苦手な人、アレルギーがある人へどう配慮するかを詰める必要があるという。

 新潟県中越地震(04年)では、ペットと過ごすために車中泊した女性がエコノミークラス症候群で死亡した。「ペットは家族の一員」という意識が浸透している現在、ペットを連れて避難できることは飼い主の安心につながる。

 住民の安全面からも考える必要がある。放置された動物が人を襲ったり、繁殖したりする恐れがある。同省のガイドラインも同行避難は「生活環境保全の観点からも必要な措置」と言及。県も対応マニュアルの作成を検討している。

 同行避難には飼い主の心構えが欠かせない。放し飼いなどのマナー違反、ペットをめぐる過度な要望はトラブルを招く。動物愛護を担当する県食品安全衛生課は「日ごろのしつけが大切」と強調。イヌなら▽むやみにほえない▽ケージの中でおとなしくできる▽「待て」など基本動作ができる-ことが求められる。餌やトイレ用品などの必需品は非常時に持ち出せるようまとめておくことも大切だ。

身元証明に「迷子札」

 職場など出先で被災し、自宅に戻れない事態も起こり得る。ペットを家に残した場合を想定し、対策を考えなければならない。同課が必須とするのが「迷子札」。鑑札などの装着義務があるイヌを除き、ネコなど他の動物は身元を証明するものがない。「保護しても手掛かりがなければ飼い主にたどり着かない」と着用を求める。

 首輪ができないならマイクロチップが有効。直径2ミリ、長さ10ミリ程度の筒を注射器で首元に打つ。中身は個体識別番号を記録した集積回路(IC)。読み取り機があれば誰のペットかが確実に分かる。県内では動物病院などで登録料(千円)のみで提供している。

 異物を入れることに抵抗感のある飼い主もいるが、県内でも徐々に普及している。県獣医師会によると、13年に全国最下位(920件)だった県内の登録数は15年6月末現在で2608件に増加。順位は44位にとどまったが、上昇率は2.83倍で全国1位だ。

 避難生活のストレスの中、飼い主にとってペットとの離別は大きな悲しみとなる。ペットの存在は心の支えになる。同会は「家族の一員を守るために事前にできることを尽くしてほしい」と訴える。

【飼い主の心構え】
  • ▽日常
  • しつけ(「待て」「来い」などの基本動作、ケージに慣れさせる、トイレ)
  • 迷子対策(鑑札、迷子札、マイクロチップなど)
  • ペット用持ち出し品の準備(食料、水、トイレ用品、ケージやキャリー バッグなど)
  • 健康管理(ワクチン接種など)
  • ▽災害時の対処
  • 自分自身の安全確保
  • ペットとの同行避難
  • 避難所、仮設住宅におけるマナーの順守