やまがた橋物語

赤川編第1部[6]

◆蛾眉橋(三川-鶴岡)

蛾眉橋(三川-鶴岡)の写真 鶴岡市文下と三川町横山を結ぶ蛾眉橋。現在の橋は五代目となる=三川町

 鶴岡市文下(ほうだし)と三川町横山の両地区をつなぐのがアーチ構造の「蛾眉橋(がびきょう)」。長さ三〇八メートル、幅七・五メートル。蛾の触角のような美しいラインや、人のまゆ毛のような形から、その名が付けられたという。

 初代の橋は木橋で、現在とほぼ同じ場所に架けられた。長さ一三七メートル、幅四・五メートル。横山村の大地主だった菅原美静さんが発起人となり、一八七三(明治六)年九月に誕生した。

 住民有志でつくる「横山蛾眉橋碑保存会」によると、架橋当時は通行料金が必要で、橋銭は一人につき五厘、馬は一頭一銭だった。それまで横山の人々は船を出して往来しており、渡し船場近くの通りには料理屋や駄菓子屋などが軒を並べ、にぎわっていたという。

 蛾眉橋は、洪水のたびに流失の憂き目に遭った。現在の橋は五代目で、一九三八(昭和十三)年十二月、災害にも揺るがない鉄筋コンクリート製となった。

 横山上町内会長で、横山蛾眉橋碑保存会のメンバーの一人、飯野清昭さん(63)は「酒田まつりのサーカスに登場したゾウやウマが、鶴岡市の天神祭のために蛾眉橋を通って移動していた。あの光景は忘れられない」と幼少時の橋の様子を懐かしんだ。

 七八年十月、横山地区の住民は橋の近くに記念碑を建立し、同時に有志約八十人で蛾眉橋碑保存会を設立。毎年橋のたもとで芋煮会や観桜会を開き、地区民と鶴岡市文下の住民が親睦(しんぼく)を図ってきた。「洪水による流失の困難に耐え、何度も橋を架けてきた先人の努力をたたえたい」と飯野さん。蛾眉橋を愛する地域住民の思いが後世へと受け継がれていく。

2008/07/22掲載

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