やまがた橋物語

赤川編第2部[6]

◆小針橋(鶴岡)

小針橋(鶴岡)の写真 石金沢集落に通じる小針橋。地域住民の生活に欠かせない橋だ=鶴岡市大針

 山あいのひっそりとした集落に架かる橋がある。地域住民にとって欠かせない生活道路の一部。鶴岡市大針の小針(こばり)橋も、そんな橋の一つだ。集落へ通じる玄関口の役割を担う。

 橋を境に現在、三十戸近くが暮らす。そのうち、県道から橋を渡った先の石金沢集落には六戸が点在する。「(小針)橋がなければ、県道に出ることができない。一日に何度も橋を車で渡っている。橋がない生活なんて考えられない」と住人の一人、伊藤高喜さん(78)は語る。現在の橋は一九九一年に架けられた。長さ五十メートルで幅員は四・五メートルの鋼橋。高喜さんは完成時の渡り初め式に家族三代で出席した。

 一方、近くの伊藤好男さん(81)は子どものころに見た「小針橋」の光景が今も目に焼きついている。かつてはつり橋が架かり、豪雨で水位が増した川の勢いにのみ込まれ流されてしまうことも間々あったという。より鮮明に覚えている記憶がある。「九歳か十歳のころの話だが、ある時、つり橋を渡った馬が途中で板を踏み外し、動けなくなった。近所の男衆が集まり、力を合わせて馬を引き上げた。子どもの目に大人がすごくたくましく見えた」と懐かしむ。

 終戦後、住み慣れた古里に戻り、生活を送り続ける好男さん。近くの山で炭焼きや養蚕、農業などを仕事としてきた。今ではめっきり山に入る人の姿も少なくなったという。「荒れていく山、田畑への手だてはないものか」。ため息交じりで語った。

2008/09/08掲載

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