やまがた橋物語

赤川編第2部[7]

◆花戸大橋(鶴岡)

花戸大橋(鶴岡)の写真 小綱木集落の生活を支えている花戸大橋。橋のすぐ後ろには新落合ダムが見える=鶴岡市・花戸大橋

 水力発電を行う東北電力新落合ダムの二十メートルほど下流に花戸大橋がたたずむ。長さ五十三メートル、幅五メートル。赤川を挟んだ小綱木集落の人々の生活を支えている。

 新落合ダムは一九五八(昭和三十三)年一月に花戸口地区に完成。以前は、現在の橋の五十メートルほど上流に木のつり橋が架けられていた。近くに住む農業菅原忠さん(66)は「馬車や車が通ると橋が大きくうねり、安定性に欠けた橋だった」と振り返る。

 東北電力は五六年十一月、新落合ダムの建設に着工。時を同じくし、コンクリート製の橋を工事の専用橋として現在とほぼ同じ場所に架けた。ダムの完成とともにつり橋は廃止された。

 しかし、コンクリート橋は車一台がやっと通れるほどの狭い幅。昭和三十年代に入り各家庭に乗用車が普及し始めると、より安心して通行できる幅の広い永久橋を望む声が高まった。県は昭和四十年代から、旧朝日村で大針から大鳥までの約二十キロを広域基幹林道として整備することを検討。現在の花戸大橋の架設は、広域基幹林道の一部として建設が進められ、七四年十一月に完成した。

 菅原さんは「現在の橋が完成したころは、農業にも大型機械が導入された画期的な時代だった。農機が容易に搬入できるようになり、水田の基盤整備が著しく進んだ」と懐かしんだ。

 新落合ダムが完成する前は、今よりもっと赤川の流れは早く、水が澄んでいたため、マスの遡上(そじょう)する姿が頻繁に見られたという。「昔よりも魚は少なくなったが、橋を取り囲む自然の美しさは変わらない」。橋の欄干から遠く川面を見つめながら、菅原さんはつぶやいた。

2008/09/09掲載

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