やまがた橋物語

金山川編[11]

◆神室橋(金山)

神室橋(金山)の写真 金山川の最上流に架けられた神室橋。上流に神室ダムがある

 神室橋は神室山(一、三六五メートル)を源とする金山川の最上流部に架かる。金山町入有屋(いりありや)と下向(しもむかい)の二つの集落を結ぶ全長五十七メートル、幅八メートルの永久橋で、災害復旧工事により一九七六(昭和五十一)年に完成した。

 「この橋には思い出がいっぱいある」と語るのは、三上鉄雄さん(74)。川の右岸に位置する入有屋で区長を務めたこともある。ほかの多くの橋と同様に、神室橋も丸太を渡しただけの橋で、増水すると流された。「対岸の下向に田畑を持っている人もおり、流されるたびに何キロも下流の不動橋を回って農作業にいかなければならない。それだけに新しい橋ができた時の喜びはひとしおだった」

 地域名を冠する橋の名が多い中で、神室橋に決まるまで集落同士のちょっとした“綱引き”があったという。有屋地区は入有屋、下向、柳原、栃ノ木、地境、宮、稲沢の七集落で構成される。大字有屋の一番地がスタートするのは町道沿いの入有屋。これに対して下向には、集落沿いに県道が走る。「一番地」と「県道沿い」。それぞれプライドがある中で、どちらか片方の集落名を橋名にすると角が立つ。一文字ずつ取って組み合わせても、あまりいい名前にならない。そこで神聖な神室山を仰ぐ地域であることから「神室橋」と命名されることになった。

 集落から一キロほど上流に、最上地方の水がめとなっている神室ダムがある。神室橋が架かる二年前に事業着手し、一九九三年に完成した。入有屋の背後にはスキー場やキャンプ場、宿泊施設が整備され、グリーンバレー神室として四季を通じて町民に親しまれている。

2008/11/26掲載

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