やまがた橋物語

金山川編[9]

◆不動橋(金山)

不動橋(金山)の写真 信仰の山・竜馬山(左上)のふもとに架かる不動橋=金山町

 金山町宮地区から県遊学の森へとつながる町道に架かる「不動橋」。長さ四八・八メートル、幅四・五メートルのコンクリート製の小さな橋からは、頂にある柱状の奇岩が特徴の竜馬山(五二一メートル)を眺めることができる。

 竜馬山は、竜の頭と白馬の胴体を持った「竜馬」が度々出現したという伝説が残る信仰の山。ふもとの「不動堂」にちなみ、橋は地元で「どんじぇん(堂前)橋」と呼ばれ、親しまれてきた。毎年行われる祭礼では、白装束を着た住民らが山腹に巡拝し、かつては橋近くのふちで身を清めてから山に向かったという。

 橋の付近は子どもたちの遊び場でもあった。「昔の金山川は水が豊富で深いふちがあり、橋の欄干から飛び降りて遊んだものだ」と宮地区に住む矢口勝義さん(87)。妻の千代子さん(83)も「川の水はきれいで飲み水に使えた。カジカやアユ、イワナなど魚もたくさんいて、河原で芋煮会をした時に男の子が捕まえて、焼いて食べた」と懐かしそうに語る。

 今の橋が架けられたのは、一九七三(昭和四十八)年十二月。先代の橋は金山川で最後に残った木橋だった。平成の時代に入り、県遊学の森やグリーンツーリズムで有名な「暮らし考房」などが整備され、休日には車も多く通るようになったが、今も平日の通行量は数十台程度。右岸には斎藤茂吉の弟子・結城哀草果が詠んだ「杉群(すぎむら)のひとつ蜩(かなかな)切立てる岩山こめてひびきわたれり」の歌碑がひっそりと立っている。

2008/11/21掲載

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