やまがた橋物語

京田川編[10]

◆吉方橋(庄内・鶴岡)

吉方橋(庄内・鶴岡)の写真 庄内町吉方と鶴岡市小中島をつなぐ吉方橋

 庄内地方で戦後最大の水害とされる1971(昭和46)年7月の大洪水。豪雨で京田川がはんらんし、川沿いの集落は甚大な被害を受けた。庄内町吉方と鶴岡市小中島を結ぶ「吉方橋」の周辺も例外ではなかったが、木造橋に代わる永久橋が直前の同年3月に完成、復興に貢献した。

 県庄内総合支庁河川砂防課によると、71年の洪水で庄内地方は1904戸が被災、被害総額は当時の金額で約6億3千万円に上った。農作物の被害は4億円超。田園と畑地が広がる吉方橋の周辺も水に浸されたという。

 橋の北東に位置する吉方集落の農家は当時から京田川の対岸に田畑を持っていた。洪水の半年前まで木造橋を渡って往来していた近くの渡部俊さん(82)は語る。「もし木の橋のままだったら洪水で流失してしまい、対岸に渡るのに苦労を強いられただろう。復興にはさらに多くの時間を要したと思う」。同集落の渡部平三郎さん(81)はかつての木造橋を「欄干につかまりながら歩かないと渡れないほど不安定だった」と振り返る。

 現在の橋(長さ51.8メートル、幅5.5メートル)は91年に開通。一帯では当時、県が京田川の拡幅や掘削、堤防の改修といった工事を行い、老朽化していた71年完成の橋の架け替えも実現した。

 冬の間、橋を渡る住民はほとんどいないが、田植えや種まきの時期になると地元の農家たちにとって欠かせない橋に変わる。俊さんと平三郎さんは「今の橋があるおかげで吉方の農家は作業がはかどる」と話す。

2010/01/25掲載

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