やまがた橋物語

京田川編[14]

◆前野橋(庄内・鶴岡)

前野橋(庄内・鶴岡)の写真 鶴岡市藤島関根と庄内町三ケ沢をつなぐ前野橋。小ぶりだが周辺の住民に重宝されている

 小さくても周辺の住民に重宝される橋がある。鶴岡市藤島関根と庄内町三ケ沢をつなぐ「前野橋」。長さ21メートル、幅7メートルと“小ぶり”だが、300年以上続く川の両岸の交流を支え続けている。

 藤島町史上巻によると、橋の西側に位置する藤島関根、無音(よばらず)、楪(ゆずりは)は用水の乏しかった地域で、橋の東側、三ケ沢のせきから水をもらい受けて開田を進めた。それが元禄年間初頭の話。1690年代に当たる。旧藤島町の元教育長で藤島関根に住む加藤輝信さん(72)は「今の橋がある付近に樋のような筒状の物を渡し、水のやりとりがあったようだ」と話す。

 三ケ沢には複数のため池がある。近くの農業乙坂喜吉さん(69)によると、大正から昭和の初期にかけて、冬の間ため池にできた氷を売り買いする交流が対岸とあった。木造橋が架けられていたが安全とは言えず、住民たちは永久橋の建設を要望。初代のコンクリート橋が1939(昭和14)年、開通した。乙坂さんは「小さな橋だったが、若いころは前野橋を渡って集落のコメを藤島の倉庫に運んだ。鶴岡の中心部にも行きやすくなった」と懐かしむ。

 現在の橋は82年に完成した。地元建設会社の社員として工事に参加した藤島関根在住の伊藤信市さん(75)は「川底の掘削に苦労したが、老朽化した橋を架け替えたい思いで頑張った」と振り返る。

 藤島関根、無音、楪を含む東栄地区と三ケ沢地区の交流は現在も盛んだ。両地区の住民によるグラウンドゴルフ大会の開催は18回を数える。嫁や婿として対岸に移住する人も多い。京田川をまたぐ二つの地区をつなぐ架け橋は、今日も大切な役割を果たしている。

2010/01/29掲載

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