やまがた橋物語

京田川編[7]

◆生長橋(庄内・鶴岡)

生長橋(庄内・鶴岡)の写真 庄内町と鶴岡市藤島地域を結ぶ生長橋。かつては危険な木造橋として周辺集落の住民を悩ませた

 水害や吹雪、穴だらけの道…。厳しい自然災害や木造橋の老朽化に長く苦しめられてきた庄内町生三(いくさん)の住民にとって、完成が待ち望まれた永久橋がある。生三と鶴岡市長沼を結び、県道東沼長沼余目線に架かる「生長(いくなが)橋(長さ53.6メートル、幅7メートル)」。1975(昭和50)年に開通した。生三、長沼双方の地名が名前の由来となっている。

 現在の橋が架かる前は危険な木造橋として生三の住民を悩ませた。川面すれすれに架けられた板を丸太で支えるだけの橋。昭和20年代初頭、木が朽ちたことで橋の表面にいくつもの穴が開き、農耕用の牛や馬、自転車は危なくて渡れなかったという。

 44年、一帯を豪雨が襲った。当時、生三に住んでいた男性(81)は「京田川が増水して橋が浮き上がる感じだった。流されなかったのが不思議なくらい」と振り返る。その後も橋の補修工事は幾度となく行われたが、大雨の時などは使えない時代が続いた。

 「冬の間は交通が遮断されて大変だった」と語るのは生三に住む藤原五朗さん(62)美恵子さん(61)夫妻。戦後、集落の中を県道が通ったが、細く、便の悪い道だった。吹雪の日は通行が危険で隣の集落にも行けない。危険な木造橋と不便な県道。2人は「現在の橋が開通するまで陸の孤島となることもよくあった」と苦笑いする。

 今、橋を渡るための苦労はほとんどなくなった。庄内町の中心部と鶴岡市を結ぶ橋として交通量も多い。五朗さん、美恵子さんは語る。「今は安心して渡れる。それが何よりだよ」

2010/01/20掲載

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