やまがた橋物語

前川編[8]

◆前川新橋(上山)

前川新橋(上山)の写真 補修工事のため防護ネットが掛かっている前川新橋。上流側からは橋と上山城(中央奥)が一緒に見える=上山市

 前川新橋(全長31メートル、幅23メートル)は、1978(昭和53)年に完成した永久橋。東の国道13号や西の国道458号につながる市街地の重要路線上に架かる。

 橋の周囲には市役所や警察署、消防署、小学校など重要施設が集中し川沿いは住宅地だが、昭和30年代ごろまでは一面に田畑が広がっていた。川近くの石崎地区に住む自治会長の佐藤広一さん(70)は「前川の水は農作物を栽培する上で大きな役割を担っていた」とし、「地区内にある石崎神社には今でもキュウリを供える風習があり、昔からあつく信仰されている」と話す。

 同神社は1658(明暦4)年、初代上山藩主・土岐頼行(ときよりゆき=1608~84年)が八坂神社(京都府)から勧請(かんじょう=神仏の分霊を他の神社に移して祭ること)して創建した神社で、「天王様(てんのうさま)」または「きゅうり天王」とも呼ばれる。天王様とは、八坂神社の神様である牛頭(ごず)天王のことで疫病を抑える神とされるが、不作を恐れる農民たちは五穀豊穣(ほうじょう)の神としてもあがめた。石崎神社の信仰には、豊作で安穏に暮らすため、前川の水が“暴れ水”ではなく常に“恵みの水”であってほしい-そんな思いも込められていたようだ。

 昭和30年ごろ佐藤さんは中学生で、現橋の近くに設置された丸太を渡って上山中(現上山南中)に通ったという。前川の水が多い時は、じゃんけんで負けた友達にかばんを預けて川を泳いで帰宅したことも。「昔と比べると前川新橋付近の景観はだいぶ変わった。橋は上山南小の通学路でもあり、市民生活に欠かせない」と話していた。

2010/03/12掲載

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