やまがた橋物語

馬見ケ崎川編[15]

◆唐松橋(山形)

唐松橋(山形)の写真 主に農作業用として整備された唐松橋。橋下は比較的水量があり、せせらぎが心地よい=山形市

 唐松橋(長さ百十三メートル)は、国道286号と馬見ケ崎川右岸の釈迦堂河畔広場の間に架かる。橋付近は河川公園として整備されている。夏には子どもたちが川に入って泳いだり、川水を引いた水路で遊んだりして歓声を上げ、秋には芋煮会やバーベキューを楽しむ家族連れでにぎわう憩いのスポットだ。

 主に農作業用の橋で、完成したのは一九八九年。その前は約二百メートル下流の位置に木橋が架かっていた。川の左岸に住む農家が右岸の水田や果樹園に出掛ける際に利用した。だが、川の中に石を積み上げて板を渡した簡素なもので、流失したことは数知れず。ホップ栽培を最近まで六十年ほど続けてきた山形市釈迦堂の石井七郎さん(89)、玉代さん(82)夫婦は「橋が流されても農作業をしなくてはならないので、川の水に漬かって横切ったこともあった。収穫した作物を運ばなければならず、生活を支える大事な橋だった」と口をそろえる。

 永久橋の架設は地区住民の長年の念願。川の右岸側を通る山形自動車道の建設計画が進んでいた時、用地交渉の中で地権者らを中心に住民が一丸となって架け替えを強く要望し、現在のコンクリート橋が実現した。

 橋の六百メートルほど上流の岩壁には最上三十三観音五番札所の唐松観音がある。老朽化に伴い七六年に信者らの浄財でお堂を再建した際、参道の入り口に水神を祭る九重石塔を建立した。そこには“暴れ川”に対する地区住民の思いが刻まれている。「恵多き母たる川 馬見ケ崎川 とわに安かれと祈り奉る」

2009/02/19掲載

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