やまがた橋物語

乱川編[10]

◆万代橋(天童)

万代橋(天童)の写真 周囲に広い河原が広がる万代橋(中央手前)。並行する奥羽本線の鉄橋(中央奥)を山形新幹線「つばさ」が渡る=天童市

 東根市との境界付近の天童市乱川に「万代橋」(全長165メートル、幅7.5メートル)が架かる。県道山形天童線(旧国道13号)を支え、1953(昭和28)年に現在の永久橋になった。山形天童線は江戸時代に参勤交代のルートとして整備され、かつては羽州街道と呼ばれた。国道13号と同じく朝夕は自動車が多く、万代橋は交通の要衝となっている。

 近くに住む奥山雪男さん(85)は江戸時代の話を知っている。かつては橋が無く、通行人や荷物を背負って川越えを手伝う労働者がいたという。

 昭和初期は木橋だったが、並行して架かっていた奥羽本線の頑丈な鉄橋と違って洪水で何度も倒壊した。「橋が渡れなくなった時、鉄橋の線路上を歩いて渡った。自分は子どもだったから高い所が怖くて下を見ないで渡ったものだ」と話す。今も鉄橋の橋脚は1901(明治34)年の奥羽本線開業当時のものが使われている。石を積み上げて造った「明治の橋脚」の上を平成生まれの山形新幹線「つばさ」が走る光景は何とも感慨深い。

 奥山さんは第2次世界大戦で徴兵され、神町飛行場(東根市の現山形空港)の建設作業に従事した。飛行場建設地から万代橋付近の乱川まで線路が敷かれ、埋め立て用の砂利を河原から採取し、機関車で運搬したという。兵隊時には山形市から尾花沢市まで歩いて行軍したこともあり、その際に万代橋を渡った。「川での魚取りや水浴びは楽しかった。河原にはグミの実がたくさんあってよく食べたよ」と奥山さん。少年時代の記憶をたどると笑みが広がった。

2009/09/17掲載

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