やまがた橋物語

乱川編[8]

◆本郷橋(天童)

本郷橋(天童)の写真 本郷橋を通り元気に通学する山口小の児童たち。国道48号ということもあり、早朝から交通量は多い=天童市

 「おはようございます」-。地元の山口小や天童二中に通う子どもたちの通学路にもなっている天童市川原子の「本郷橋」(全長73.3メートル、幅12.3メートル)。仙台と本県を結ぶ国道48号にあり、早朝から交通量は多い。

 前の橋は1931(昭和6)年ごろの完成という。橋の近くに住む農業須藤礼二さん(77)は「第2次世界大戦中、橋のたもとに軍事工場があった。何を作っていたかは不明だが、スパイから情報が漏れたのだろう。爆撃を受けて橋の欄干が壊れた」と思い出す。

 壊れた橋は補修され、しばらく使われた。国土交通省東北地方整備局山形河川国道事務所によると、現在の本郷橋は1982(昭和57)年の完成。隣の山口地区出身で、プロ野球広島東洋カープの主砲として活躍する栗原健太内野手と“同い年”でもある。

 「清流に自生する水草のバイカモが咲くなど、昔は水がきれいだった。風呂や洗濯のためだけでなく、飲み水としても使った」と須藤さん。ただ「乱川」の名前の通り、大雨が降ると堤防が決壊したことも。「雨が上がるとまきに使える木材が散乱していた。その上に石ころを置くと所有者の目印となった」。水くみと石置きは子どもたちの仕事だった。

 午前7時40分ごろには、地元山口小の児童が列をつくって通学する。高学年の児童が下級生を見守り、地域の人とあいさつを交わす姿は、本郷橋周辺の“日常”となっている。須藤さんは「川は汚れ、川で遊ぶ子どもはいなくなった。水質がきれいになれば子どもらの姿は戻るはず。こうした川や橋を含めた情景が、古里の思い出の景色として心に刻まれればうれしい」と目を細めた。

2009/09/11掲載

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