やまがた橋物語

最上川第3部[13]

◆八天橋(朝日)

八天橋(朝日)の写真 能中地区(手前)と国道287号を結ぶ八天橋。緩やかなこう配がある=朝日町三中

 朝日町の能中(のうじゅう)と四ノ沢の両地区間には八天(はってん)橋が架かる。能中地区のリンゴ園や水田と、川向かいを通る国道287号を最短距離で結ぶ橋として、地元の農業を支えている。

 橋は一九八九年に開通した。延長百八十八メートル、幅五・七五メートル。右岸側がやや高く、緩やかなこう配になっている。橋からは最上川と朝日岳を望むことができ、秋になると農作業の手を休めた人々が橋の上から紅葉に色づいた山々を眺める。近くには、かつて舟運の安全を祈願していた「八天稲荷神社」がある。橋の名前は、「発展」の意味も込め、この神社から取ったという。

 開通前は、国道に出るまで、南側に架かる五百川橋を渡って五キロほど迂回(うかい)する必要があったが、八天橋の完成でその距離は七百四十メートルに縮まった。能中区長の海野利昭さん(66)は「昔は道路が今ほど整備されておらず、大雨や大雪の際は“陸の孤島”になることもあった」と話す。地区にはリンゴやコメを栽培する農家が多く、橋は農作物の流通を支える基幹農道として貢献している。

 約四十年前までは、橋のやや上流にやながあり、サクラマスやアユが大量に掛かったという。最上川第一漁協の監視員を務める藤原光雄さん(79)=同町宮宿=は「一晩で六百キロ掛かることもあった」と当時を振り返る。藤原さんが「アユ釣りでは今でも一番いいポイント」と話すように、最盛期には橋の付近に太公望が姿を見せる。

2007/05/30掲載

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