やまがた橋物語

最上川第6部[11]

◆火焔橋(米沢)

火焔橋(米沢)の写真 かつて温泉宿と対岸を結ぶ火焔橋が架けられていた場所。現在は土台だけが残る。宿では従業員らが冬支度を進めていた=米沢市・大平温泉

 最上川の源流部にある米沢市の大平(おおだいら)温泉には、かつて「火焔(ひのほえ)橋」と名付けられたつり橋があった。最も上流部に架かる橋だったが、危険防止のため十年ほど前に撤去され、現在は両岸に土台が残るだけになっている。

 大平温泉の一軒宿「滝見屋」に約三十年勤めている桑嶋信雄さん(68)によると、火焔橋の先には最上川源流の滝と呼ばれる「火焔の滝」のビューポイントとなっている見晴らし台があり、宿が見物客の往来のために架けていたという。

 全長が二十メートルほどで、一人がやっと通ることができた。両岸をワイヤで結び、板を渡した造りで、冬季間はワイヤごと取り外していた。

 橋が架けられていた当時は、宿から手軽に対岸に渡ることができた。その便利さ故に湯治客の中にはサンダル履きで滝見物に出掛ける人もいたが、悪路でけがをする人が出たため、宿が橋を取り外したという。

 湯に漬かりながら、ゆったりと名瀑(めいばく)を眺めることができるのが滝見屋のセールスポイントの一つ。「山歩きにふさわしい服装で入山すれば、つり橋はなくてもさまざまなポイントから滝が楽しめる」と桑嶋さんは話す。

 宿の対岸には「最上川源流之碑」と刻まれた石碑が建てられており、本県の「母なる川」の源であることを今に伝えている。

2007/11/15掲載

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