やまがた橋物語

最上川第6部[7]

◆海老ケ沢大橋(米沢)

海老ケ沢大橋(米沢)の写真 直江堤公園として整備されている河川敷の中を通る海老ケ沢大橋

 歴史か地名か。米沢市赤崩の松川(最上川)に架かる海老ケ沢大橋の命名をめぐり、橋が完成した一九八八(昭和六十三)年当時、地元住民らの間で論争が巻き起こった。

 橋の名称は当初、右岸にある集落名にちなみ、海老ケ沢大橋になることが内定していた。しかし、完成間際になり、一帯の治水事業に大きな功績を残した直江兼続をたたえ「直江大橋」にしてはどうかとの案が浮上した。

 兼続は、米沢藩初代藩主上杉景勝の重臣で、城下町米沢の礎を築いた戦国武将。城下町の整備に当たり、暴れ川だった松川の治水のため、自ら陣頭指揮を執り、「谷地河原堤防」と呼ばれる大規模な石堤を築いた。

 石堤は幾度かの洪水で一部が破損したものの、その都度、修復され、現在は市の史跡として大切に保存されている。「直江大橋」案は、こうした兼続の功績をたたえる市民の間から浮上した。

 論争は結局、橋の用地提供などに協力した地元の意思を尊重する形で決着。長さ百十二メートル、幅十メートル、照明灯も設置された大橋は、県道関根李山線の一部として開通した。

 橋の名称にこそならなかったが、石堤のある河川敷は「直江堤公園」として整備され、市南部の貴重な親水公園として市民に親しまれている。兼続を主人公にした「天地人」が、二〇〇九年放送のNHK大河ドラマの原作に決まり、一帯は一躍、新たな観光スポットとしても注目されている。

2007/11/09掲載

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