やまがた橋物語

寒河江川後編[14]

◆根子川橋(西川)

根子川橋(西川)の写真 寒河江川で最も上流に架かる根子川橋=西川町

 寒河江川で最も上流に架かる根子川橋(長さ四十八メートル)。西川町大井沢地区の南端に当たる右岸の根子、左岸の見附、清水原の各集落を結ぶ。

 西川町史によると、一九四〇(昭和十五)年七月十二日、前日夜から降り続いた豪雨のため、寒河江川が増水し、流域一帯は大きな被害に見舞われた。朝日山系に降り続いた雨は寒河江川の流域をのみ込み、当時、木橋だった根子川橋は十二日未明に一気に押し流された。下流では本道寺尋常高等小学校の校舎が流失した。

 「前日夕方からバケツをひっくり返したような激しい雨が続いた。外に出られない状態が続いた」と渋谷嘉徳さん(80)=同町大井沢=は当時を振り返る。「橋が流されたのは十二日のまだ夜が明けきらないころ。この辺りの家々は浸水被害がひどく、復旧作業が大変だった。このため学校が二、三日休みになったのを覚えている」。小学生だった時の記憶は今も鮮明に残っている。

 その一方で、穏やかで楽しい橋と川の光景も忘れられない。「子どもの時分は、橋の下にあったふちで水泳をしたり、橋の上から飛び降りて遊んだ。ふちの深さは三メートルほど。大きなイワナの姿が何匹も橋の上から見えた。手ぬぐいを使ってカジカ捕りもした。橋の周り、川は子どもたちの格好の遊び場だった」と目を細める。

 木橋が流された後、仮の橋を架けて通行を確保し、しのいでいたが、当時、伐採した木の搬出に橋が使われていたため、営林署が復旧に乗りだし、現在の永久橋が五九年に造築された。親柱に残る「秋田営林局」のプレートが当時のいきさつを物語っている。

2009/05/28掲載

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