やまがた橋物語

寒河江川後編[8]

◆二ツ掛橋(西川)

二ツ掛橋(西川)の写真 二ツ掛橋の上から月山に向け、カメラを構える愛好者。付近には釣りや絵を描く人が訪れる=西川町

 西川町の国道112号から県道大江西川線に入り、大井沢方面へ進む。山形自動車道の下をくぐると、左側には寒河江川が見えてくる。最初に出合う橋は、全長百三メートル、幅五メートルの二ツ掛橋だ。桧原(ひばら)地区にあり、一九八八(昭和六十三)年に完成した。

 住民によると、二ツ掛という名前は寒河江ダムの建設に関係する。先代の二ツ掛橋は、一-二キロほど下流の二ツ掛地区にあったつり橋だった。七二年のダム着工に伴い、集落とつり橋は姿を消し、同地区には私有地の一部が残った。住民は、ダムを造った当時の建設省に対し、私有地に渡るための橋の建設を要望。一方、上流の桧原地区の住民は地区内への架橋を希望した。話し合いの結果、桧原地区に、湖に沈んだ集落「二ツ掛」の名で橋が架けられたという。

 風で吹き飛んだこともあったというつり橋とは違い、現在は車も通行できる永久橋。だが右岸の住民は少なく、橋を往来する車はまばらだ。「住民以外に渡るのは山菜採りの人。釣りや絵を描く人も見掛けるよ」。橋の近くに住む農業志田虎雄さん(77)が教えてくれた。

 橋の上からは、下流方向に残雪の月山が望める。カメラの撮影ポイントとなっており、取材した一時間ほどの間に何人もの愛好家と出会った。仲間と訪れていた長井市成田、小笠原千代子さん(72)もその一人。「山も川も空もきれい。ここでしか味わえない景色」と話し、盛んにシャッターを切っていた。

2009/05/20掲載

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