やまがた橋物語

置賜白川編[8]

◆十四郷橋(飯豊)

十四郷橋(飯豊)の写真 白と黒の水墨画の世界の中にひときわ映える赤い橋脚の十四郷橋

 白川ダム完成前は、十四の集落があった飯豊町の中津川地区。ダム整備に伴い、いくつかの集落は湖底に沈み、住民たちは十四の集落があったことを後世に伝えていこうと、「十四郷」(とよさと)という言葉を残した。同地区への入り口付近にある「十四郷橋」は、当時の住民たちの思いと現代をつなぐ懸け橋にもなっている。

 中津川の玄関口にある「とよさと美術館」を過ぎると、赤い色の鉄骨が目立つ十四郷橋が見える。長さ百二十メートルで、全幅六・五メートル。白川ダムの建設によって架けられ、一九七六(昭和五十一)年に完成した。

 五八(同三十三)年に、飯豊村(当時)に編入合併した中津川村(同)。それまでは南置賜郡だったことから、飯豊・長井より米沢・川西のほうが身近な場所だった。町役場への移動も、現在の高峰・手ノ子両地区を通る道が整備されておらず、川西町に一度出てからの回り道だった。

 「合併して同じ町になっても、地理的にも精神的にもどこか距離感があった」と、元役場職員で地区内宇津沢の林業山口八郎さん(73)。橋の完成でダム建設の恩恵を感じるとともに「“飯豊”が近くなり、一体感が生まれた。ようやく一つの町になったような気持ちがした」とも語る。

 中津川の住民は「ダムの上流に栄えた村なし」の言葉を危機感として共有し、団結して地域おこしに取り組む。「十四郷」は、そんな決意を象徴する言葉にもなっている。

2008/01/30掲載

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