やまがた橋物語

須川編第2部[13]

◆ならげ宿橋(上山)

ならげ宿橋(上山)の写真 周囲の山々が緑色に染まった今、週末には多くの車が行き交う=上山市

 主要地方道上山七ケ宿線「楢下バイパス」(二〇〇五年開通)の整備に伴い、上山市楢下地区に、楢下長渕橋と一緒に架けられたのが「ならげ宿橋」。名称は住民から募り、親しみやすいように、ひらがな表記にされた。全長三十七メートル、幅十二メートル。宮城県の七ケ宿町に至る観光ルートの要衝だ。

 多くの文化財や史跡が点在する楢下宿。バイパス整備で交通が円滑になったが、人が訪れなくなってしまう危機感が募った。楢下宿保存会の遠藤宰吉会長(75)は「楢下宿を素通りされてしまうようになってはいけない。もっと人を呼び込めるように活動を展開したい」と語る。

 一九七二(昭和四十七)年ごろ、楢下宿の歴史的価値などの調査に訪れた東北大の教授らが言った。「自然と調和し、手を加えず昔の雰囲気がそのままに残る楢下宿には、全国の宿場町の中でも三、四番の評価を与えられる」。「自分が生まれ育った地にそれほどの価値があるとは」-遠藤会長はその言葉に感銘を受け、地元を見る目が変わった。以来、集落の保存やアピールに尽力しており、二〇〇一年から観光ボランティアガイドも務める。今真っ先に実現させたいのは、バイパス沿いに目を引く看板を設置することだという。

 かつて集落の橋が木橋だったころ、洪水で流されないように、大木に縛り付けるための「橋綱」を住民挙げて作った。「綱作りは毎年にぎやかで風物詩のようだった。イベントなどでまたやってみたいという思いもある」とも。新たな橋が架かりバイパスが開通したことを契機に、楢下宿の魅力発信へ力が入っている。

2008/05/27掲載

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