やまがた橋物語

内川・新内川編[16]

◆三次郎橋(鶴岡)

三次郎橋(鶴岡)の写真 橋畔に住んでいた中村三次郎さんが私費で橋を架けたことに橋の名が由来する三次郎橋=鶴岡市

 鶴岡市切添町と宝町をつなぐ三次郎橋。市郷土資料館によると、誰が名付けたかは知らないが、かつて橋のたもとで銭湯を営み、私費で木橋を架けた中村三次郎さんの名を冠したという。付近の住民が遠回りして両岸を行き来していた苦労を考えると、三次郎さんの功績は“偉大”だ。

 同資料館によれば、現在の宝町地内の橋畔に住み、家族で銭湯を営んでいた中村三次郎さんが、利用客の利便性を高めようと、丸太を組んだ一本橋を私費で架けたという。その時期は不明。しかし、1921(大正10)年の洪水で橋は流失。市はその後、三次郎さんの思いを受け継いで、「三次郎橋」と名を残し、新たな木橋を架けたという。

 64年にはコンクリート製の永久橋として生まれ変わった。現在の橋は80年に改修され、長さ49.6メートル、幅3.8メートル。車の通行が禁止されているため橋の傷みは目立たない。朝暘五小や鶴岡東高の児童、生徒の通学路として利用されているほか、地域住民が自転車で行き交う姿が見られ、生活に溶け込んでいる。

 橋の近くに住み、切添町町内会副会長を務める自営業小野寺勝弘さん(67)は「切添町と宝町の住民の行き来が可能になったのは、三次郎さんの厚意によるもの。私費を出して両岸をつないでくれた三次郎さんの思いに感謝しながら、大切に守っていかなければならない」と感慨深げな様子だ。

 近くに住む同市宝町、無職石井とみゑさん(87)は「橋の右岸にあたる切添町側は昔、田んぼが広がっていた。農作業のために橋を渡る機会が多かった」と懐かしむ。三次郎橋は形を変えながらも、地域住民にとっては今も変わらず大切な橋として生活を支えている。

2010/05/28掲載

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