やまがた橋物語

月光川編[3]

◆文珠大橋(遊佐)

文珠大橋(遊佐)の写真 地蔵様(手前)がシンボルとなっている文珠大橋=遊佐町小原田

 遊佐町の小原田と吉出を結ぶ文珠大橋(長さ133.5メートル、幅8.5メートル)のたもとには地蔵様がたたずむ。行き交う人々の安全を見守っているかのようだ。

 文珠大橋は1996年3月に完成。欄干には鳥海山と町の花「チョウカイフスマ」のレリーフがある。下流の旧朝日橋までの河川敷には遊歩道が整備されており、春から秋にかけては散歩やジョギングを楽しむ人が多い。月光川に面した平津山の岩場に高さ約1.5メートルの文珠菩薩(ぼさつ)の石像が祭られていることから、名前が付けられた。

 かつては約1キロ上流に「文珠橋」と呼ばれるつり橋があった。地元の製炭組合が炭焼きのために架けたもので、住民も利用していた。近くの帝立寺住職小松孝聰さん(67)は「子どものころに橋の上でよく遊んだ。自転車を引いて歩くこともできた」と話す。

 だが、61(昭和36)年10月、芋煮会帰りの中学生が渡ろうとした際に橋をつっていたロープが切れ、生徒ら41人が軽傷を負った。この事故をきっかけにつり橋は使用禁止に。不便を強いられた地元住民は長年にわたり、新しい橋の建設を要望していた。

 地蔵様はもともと文珠大橋の下流100メートルほどの堰堤(えんてい)付近にあったという。お参りしやすいようにと開通と同時に現在地に移された。二十数年前まではなぜか胴体しかなく、ふびんに思った同町小原田の鶏田茂穂さん(77)が頭を付け、顔を彫った。「鳥海山の登山道で漬物石ぐらいのちょうどいい丸い石を見つけたから…」。そう秘話を明かし、「参拝する人が服を着せたり、花を備えてくれて、地蔵様もきっと喜んでいるだろう」としみじみと語った。

2011/01/19掲載

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