やまがた橋物語

月光川編[5]

◆月光橋(遊佐)

月光橋(遊佐)の写真 月光橋の歩道を通って登校する遊佐小の子どもたち=遊佐町遊佐

 遊佐町遊佐の月光橋(長さ63.6メートル、幅9.5メートル)は、県縦断駅伝競走大会のスタート地点として知られる。町中心部の遊佐小南側にあり、朝夕の登下校時は子どもたちの元気な声が響く。1959(昭和34)年3月にできた橋だが、半世紀以上たった今も色あせることなく、赤い欄干がひときわ目を引く。

 この場所にはかつて、橋はなかった。月光橋の近くに住む前町議会議長の大谷忠志さん(83)は約100メートル下流の尻引橋を通って小学校に通ったという。月光橋は自動車時代の到来を見越した主要道路の拡幅に伴い建設され、朝日橋と合同で竣工(しゅんこう)式が行われた。だが、当時は馬車が主流で、自動三輪車もまだ少なかった。大谷さんは「土地を削られたり、立ち退きを余儀なくされた住民からは、こんなに大きい道路を造る必要があるのかと不満の声があった」と振り返る。

 県縦断駅伝の出発地点がそれまでの旧町役場前から月光橋へと移ったのは63(昭和38)年の第9回大会。この年は晴天に恵まれ、駅伝小旗を持った児童や農作業前の女性ら約3千人が早朝から詰め掛け、選手たちに盛んな声援を送ったという。

 町体育協会陸上競技部長の渋谷節朗さん(70)=野沢=は日本陸連の公式審判員となった68年から毎年、スタッフとして大会の運営を支えている。熱戦が幕を開ける日は朝6時に集合。横断幕を掲げ、スタートラインを引くなどの準備を行う。

 「大会が近づくと、仲間内で出るのは月光橋の桜の話ばかり。何とか散らないでほしいと願う年もある。満開だとスターターを務める町長のあいさつにも力が入る」と渋谷さん。今春もまた、各チームの精鋭たちがこの橋に集う日を楽しみにしている。

2011/01/21掲載

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