やまがた橋物語

村山野川編[6]

◆野川橋(東根)

野川橋(東根)の写真 耐久性向上を図る工事が進められている野川橋=東根市野川

 野原を流れるから野川-。村山野川の名の起こりはこう言い伝えられており、江戸時代中期の絵地図には既に野川の名がある。「野川橋」(全長37メートル、幅7メートル)が架かる東根市野川の地区名は、川の名称から付けられたという。

 現在の野川橋は1981(昭和56)年に架け替えられたコンクリート橋。先代の橋もコンクリート製で、東根市中心部から奥羽山脈を越えて宮城県の旧新川村に抜ける重要な県道「小山田新道」だったことから、戦前に架けられた。

 1942(昭和17)年、大水で先代の橋の南半分が流され、木橋が継ぎ足された。ところが戦後間もない47年9月、洪水で、継ぎ足した木橋が住民7人を乗せたまま濁流に流される惨事が起きた。

 橋の残された部分にいて命拾いをした、橋の北側に住む滝口広司さん(78)は、その瞬間を鮮明に記憶している。「戦後とあって橋のすぐ南に疎開中の人が住む小屋があった。小屋が流されると思った人が対岸に向かおうとした時、橋が落ちた。流された7人のうち大人2人と子ども1人が犠牲になった」。

 子どもを流された父親が川に飛び込もうとして警察官に制止され、その警察官が今度は「自分が助けに行く」と濁流に入ろうとして住民に引き留められた。「河川改修された現在の川と橋からは想像できない出来事だった」と滝口さん。この水害について東根市史に記載はないが、戦前生まれの人たちの記憶には、今も鮮明に刻まれている。

2010/11/25掲載

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