やまがた橋物語

日向川編[5]

◆上黒川橋(酒田)

上黒川橋(酒田)の写真 酒田市の赤剥と上黒川を結ぶ上黒川橋。上黒川側には廃校になった日向小がある=酒田市赤剥

 上黒川橋は、酒田市の上黒川と赤剥(あかはげ)の間に架かる。1973(昭和48)年に開通した現在の橋は長さ90.4メートル、幅4メートルで、橋桁など主要部材に鋼を用いた鋼橋(こうきょう)だ。上黒川側の県道と市道の交差点付近には、廃校になった日向小の旧校舎がある。

 近くの兵藤イサミさん(75)=赤剥=は1954年、先々代の橋を渡り、酒田市の本楯から嫁いできた。「私が通った学校は家から遠かったから、日向川を挟んですぐ近くに学校があることが楽しかった。学校のチャイムが鳴ると胸が躍り、畑仕事の手を休めて聞き入った」と話す。

 兵藤さんの子や孫たちが通った日向小は、少子化や過疎化の波を受けて2009年3月に廃校。地域の子どもたちは旧八幡、大沢、日向の3校を統合した観音寺の八幡小までバスで通うようになった。以来、チャイムの音ともに、登下校時に橋に響いていた元気な子どもたちの歓声も消えた。

 現在の橋が架かる前の上黒川橋は、木で橋桁を組んだ木製の橋だった。「嫁いできてから今の橋になるまで洪水で2度、橋が流された」と兵藤さん。日向川の川底には大きな石が転がっていて、洪水になるとゴロゴロと大きな音をたてて流れる。恐怖で夜、眠れないこともあった。

 孫の部活動の送迎で、軽トラックを運転して橋を通るという兵藤さんは「川の水かさが増えた時の橋は怖くて渡りたくないが、孫は面白がって携帯電話で“写メ”を撮っている。洪水で橋が流された時の記憶がないからでしょうね」と語った。

2011/07/05掲載

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