やまがた橋物語

日向川編[9]

◆昭和橋(酒田)

昭和橋(酒田)の写真 H桁鋼の青が印象的な昭和橋。かつては上流に木製の「作太郎橋」が架かっていた=酒田市米島

 酒田市米島の上広面(かみひろめん)集落と対岸の塚渕を結ぶ昭和橋は、1976(昭和51)年11月に架け替えられた。H桁鋼橋で、長さ82メートル。青色に塗られたH桁鋼が左右に伸びる姿が印象的だ。

 上広面の住民や周辺に水田がある農家が主に利用している。幅は5.2メートルあるものの、車道部分は3メートルしかないため、橋の手前で対向車が来ていないことを確認しての通行になる。

 以前は、20メートル上流に日向川で最も長かった木製橋と伝わる「作太郎(さくたろう)橋」が架かっていた。「300メートル近い橋だったが、渡り板の所々に穴が開き、川面が見えて怖かった」と話す同市塚渕の自営業佐藤六雄さん(59)は上広面集落側の堤防と、福島揚水機場そばの農道に原形をとどめる橋台の石組みがあると教えてくれた。二つの橋台の間隔は約270メートル。

 「小学校低学年の遠足で作太郎橋を見に行った」と話すのは土門智さん(67)=同市宮内。「引率した先生から『日向川で一番長い橋』と説明を受けた」という。橋を見に訪れる人も多かった。

 終戦後の46(昭和21)年ごろ、作太郎橋修理に加わったという元大工の斎藤良光さん(80)=同=は「とても長く立派だった。作太郎という腕の立つ大工が架けた橋だと聞いた。夏の大雨で壊れ、大工10人で修理した。完成は翌年の春だった」と振り返る。ささ舟に乗っての作業で、先輩が川の中に落とした金づちなどを一番若かった斎藤さんが潜って拾ったという。

 塚渕側の橋台そばの竹林に「作太郎橋」と刻まれ高さ2メートルほどの石碑が立つ。詳細は分からないが、均整が取れた丁寧な造りの石碑が作太郎橋の威容をしのばせる。

2011/07/12掲載

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