やまがた橋物語

丹生川編[6]

◆母袋橋(尾花沢)

母袋橋(尾花沢)の写真 ラクダのこぶのような山「二ツ森」(中央奥)の眺めがいい母袋橋付近=尾花沢市

 「母袋(もたい)橋」(全長約81メートル、幅約7メートル)は、尾花沢市と宮城県側を結ぶ国道347号に設置されている。母袋は丹生川右岸の集落名だ。先代は木橋で、現在地から50メートル上流に架かっていた。自動車の交通が増えだした昭和30年代、古川尾花沢線(現国道347号)の道路改良工事が行われ、1966(昭和41)年に永久橋の現橋に架け替えられた。橋の東方にはラクダのこぶのように二つの山が連なる「二ツ森」がそびえ印象深い。

 母袋公民館に木橋のモノクロ写真が飾られており、橋の形や橋脚の構造が一目瞭然(りょうぜん)だ。撮影者は近くに住む清藤佐平治さん(68)で「中学時代に友達から借りた二眼レフカメラで何げなく写したが、今になってみれば地域の貴重な記録写真だ」と話す。母袋区長の落合春一さん(64)は「古川尾花沢線は太平洋戦争のころは軍用道路だったと聞いたことがある。母袋橋を日本軍の車両が渡ったようだ」と振り返った。

 落合さんの母スガノさん(84)は、母袋集落で戦前ごろまで行われていた月山参りのことを記憶している。それは五穀豊穣(ほうじょう)を願って月山に参拝登山することで、出発日の早朝、白装束姿の男性たちが母袋橋の下の丹生川に漬かって水ごりをしたという。

 二ツ森は「大石田駅からでも見えるし、都会に就職した人が望郷の念を募らせると、必ず思い出した」と清藤さん、落合さんが口をそろえる。丹生川に母袋集落の“玄関口”である橋が架かり、その背後に二ツ森が堂々と構えるさまは、集落の人々の心の風景となっているようだ。

2009/07/13掲載

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