やまがた橋物語

鬼面川編[4]

◆熊野橋(米沢・川西)

熊野橋(米沢・川西)の写真 米沢市窪田町東江股と川西町尾長島を結ぶ熊野橋=川西町

 鬼面川の流れが川西町に入るとすぐに熊野橋(長さ215.8メートル、幅6メートル)に差しかかる。同町玉庭から高畠町の国道13号に至る県道玉庭時田糠野目線に建設された永久橋で、朝夕は通勤のマイカーが盛んに行き交う。

 米沢市窪田町東江股と、川西町尾長島を結ぶ熊野橋の歴史は、明治初期までさかのぼる。尾長島を含む同町吉島地区の歴史をまとめた「吉島誌」によると、近隣の住民が資金と労力を出し合い1892(明治25)年、長さ約90メートル、幅約2.4メートルの木橋を造り上げた。

 この橋ができる以前、尾長島の人々が川を渡る手段は渡し舟が中心で、増水時には立ち往生を余儀なくされた。架橋は地元住民にとっての悲願で、竣工(しゅんこう)式では花火を打ち上げて完成を祝った。洪水などで橋が損壊するたび、尾長島の人々は補修を繰り返した。交友関係は広がり、対岸に畑を持つ人も。生活に欠かせない橋を失うわけにはいかなかった。

 しかし1908年、住民は自ら橋を取り壊す。腐食が進み、倒壊の危険性が高まる一方で、日露戦争後の不況と不作のため人々の経済状況は悪化。改修工事の見通しが立てられなかった。2年後、当時の全60戸が資金を出し合い、再び舟を買った。渇水時は徒歩で川を渡り、冬場はくいと板で仮橋を架けた。

 現在の熊野橋は、旧置賜中部農免道路の工事に伴い、1974(昭和49)年に完成した。何度となく補強工事が行われ、昨年度からは長寿命化の補修工事が続いている。歩道はなく、大半の車が尾長島、東江股の両集落を通り過ぎていくが、人々の生活を支える役割は100年以上前と変わらない。

2009/11/10掲載

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