やまがた橋物語

鮭川編[5]

◆矢ノ沢橋(真室川)

矢ノ沢橋(真室川)の写真 朝霧に包まれた矢ノ沢橋が川面に映る。1羽のシラサギが飛び去っていった=真室川町

 鮭川は上流に高坂ダムが完成するまで大雨のたびに増水し、流域住民に自然の猛威を見せつけてきた。左岸・矢ノ沢と国道344号を結ぶ矢ノ沢橋の付近では、まるで竜が身をくねらせるかのように大きく蛇行して流れていたという。

 矢ノ沢集落では、当時の様子を想像できる“遺構”がある。旧矢ノ沢橋に相当し、1935(昭和10)年に架設されたというつり橋の石組みが残っている。両岸に設置されたこの基礎部分を直線で結ぶと、現在の流れとほぼ平行して位置することが分かる。矢之沢公民館の裏手斜面と田んぼの中にあり、同公民館の建つ場所は道路だった。

 地元の佐藤清夫さん(76)は「ダムが出来るまでは普段の水量も多く、『太鼓胴(たいこのどう)』や『矢ノ沢』などと呼ばれた大きなふちがたくさんあった。飛び込んで遊んだり、アユやサケなどをいっぱい捕まえた」と振り返る。

 一方、左岸には地元の田郎堰土地改良区の堆肥置き場が立つ。牧場から提供された牛ふんを冬の間に発酵させ、田んぼに散布する耕畜連携の有機栽培の拠点施設となっている。現在の矢ノ沢橋は長さ93メートル、幅5メートル。75年に完成した。

2012/01/24掲載

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