やまがた橋物語

立谷川編[11]

◆高擶橋(山形、天童)

高擶橋(山形、天童)の写真 約60年にわたり高擶と漆山の住民が行き交った高擶橋。今は震災で通行止めとなっている=山形市漆山

 天童市高擶地区と山形市漆山地区を結ぶ高擶橋は、1954(昭和29)年に架け替えられた長さ103メートル、幅3メートルの橋だ。橋桁は丸太で、欄干は角材を使用し、橋脚と床面はコンクリートと、複合素材でできている。橋の愛好者やアマチュア研究者の中には“ハイブリッド構造”と親しみを込めて呼ぶ人も。だが、3月11日の東日本大震災を受け、今後も大きな地震があれば破損の危険性が高いとして、現在は通行止めになっている。

 交通量の増加で、県内では多くの木橋が昭和40年代にコンクリート橋や、鋼材とコンクリートを組み合わせた永久橋に架け替えられた。高擶橋のように、基本部材が木製の橋は珍しい存在となった。

 「先代の橋は明治時代に旧出羽、高擶、寺津(天童市)と明治(山形市)の4村が共同で架けた」と、橋南側の山形市漆山に住む伊豆田和男さん(77)。幅2メートルほどで欄干はない簡素な丸太の木橋だった。

 高擶から通勤や通学で今のJR漆山駅に向かう人は、高擶橋を渡った。漆山の人も高擶のお祭りや行事に出掛ける時に渡るなど、両地区の交流の懸け橋。「高擶の女性が嫁いできたり、漆山の女性が高擶に嫁入りしたりと、高擶橋が結んだ縁は多いな」と、伊豆田さんの近所に住む鈴木庄三郎さん(66)は語る。

 斎藤サチ子さん(74)は高擶から漆山に嫁いだ一人。「汽車通学してるうち、橋の近くの家の男性に見初められたんだ」と伊豆田さん、鈴木さんが斎藤さんを冷やかす。

 両地区の行き来を支えた橋に代わり、震災前から下流側で架け替え工事が始まった。数年以内に開通の予定。伊豆田さんたちは「高擶橋が使えないのは不便。新しい橋の開通に期待する」と話していた。

2011/05/19掲載

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