やまがた橋物語

立谷川編[2]

◆山寺宝珠橋(山形)

山寺宝珠橋(山形)の写真 鮮やかな朱色がひときわ目を引く山寺宝珠橋。中央奥の巨岩が対面石=山形市

 山形市の山寺地区に架けられた橋の多くは、年間約70万人の観光客が訪れる古刹(こさつ)山寺にちなんだ名前が付けられている。JR山寺駅と門前町を結ぶ、朱色の山寺宝珠橋(長さ44.5メートル、幅9.5メートル)もその一つで、慈覚大師円仁が開いた宝珠山立石寺に由来している。

 コンクリート橋の親柱に、燃え上がる炎の形をした宝珠の玉が載る。両側に歩道があり、橋の上で立ち止まり山寺の風景を撮影する観光客が多い。橋の北側に対面石と呼ばれる巨岩がある。山寺一帯を縄張りにしていた地主神の磐司磐三郎が、その岩の上で円仁から殺生について諭され、狩猟をやめた伝説が残る。

 山寺宝珠橋と名付けられたのは、橋が完成した1970(昭和45)年3月。先代の橋は「高橋」と呼ばれていた。橋の近くに住み山寺地区の歴史に詳しい井沢貞一さん(80)は「高橋は『この世とあの世を結ぶ懸け橋』という意味。高い所に居る神様が下りてきて橋を行き来しているという意味がある」と話す。

 山寺地区振興会長を務めている武田忠男さん(72)一家は、橋の開通日に渡り初めの役を務めた。当時、武田さんは30歳。親子3代で記念行事に参加できたことを「大変な名誉と感じた」と振り返る。

 完成当時は銀色だった橋は住民の要望で2004年に塗り替えられ、朱色になった。

 山寺の門前に土産品店や食事所が並び、大型の観光バスが行き来する。観光客を迎え、見送る橋。立春をすぎたとはいえ、雪が降れば宝珠山一帯が白と黒の水墨画の世界をつくる。雪景色の日は、山寺宝珠橋の朱色がひときわ映える。

2011/03/11掲載

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