やまがた橋物語

天王川編[11]

◆天神大橋(米沢)

天神大橋(米沢)の写真 上郷地区の自然に映える天神大橋。毎年5月前後にはこいのぼりが掲げられる=米沢市

 米沢市長手の天神大橋(長さ約58メートル、幅2メートル)は、天王川沿いに高畠町方面に向かい、梓川橋を渡ってすぐ左手にある。山のように弧を描く3連の赤い太鼓橋が特徴で、天満神社の参道へと続く。上郷地区の自然に映えるその姿は広く市民に親しまれている。

 同神社は鎌倉時代、長井庄(置賜地域)の地頭長井時広が北野天満宮(京都)から分霊して建てたと伝わる。続く伊達氏の信仰も厚く、岩出山移封の際は家臣網代伯耆(ほうき)が一族を長手に残し、宮守に任じた。上杉氏の藩政下でも拝殿の修復や敷地の拡張が行われたという。

 同神社前総代会長で近くの農業佐久間武さん(69)は「地域が大切にしている神社。橋も昔から丈夫なものだった」と話す。地元建築業者の手で大正末にはコンクリート橋が架けられていたという。「大雨で周りの木橋が流されても天神様の橋はびくともしなかった」と振り返る。

 太鼓橋の「山」はかつて一つだった。河川改修で川幅が広がり、1983(昭和58)年に架け替えられた。三つの「山」を渡ることを地元では「過去、現在、未来を通過すること」とされている。98年の欄干修理後、県から神社総代会に管理が移された。住民たちは橋、神社の景観維持のため、四季を通じて天王川周辺の美化に取り組んでいる。

 毎年5月前後、橋の隣にこいのぼりが掲げられる。地元有志が93年から続けている取り組み。子どもが成長し使わなくなったものを集め、例年60~70匹が宙を泳ぐ。担当の農業佐久間雄一さん(70)は「多くの人が足を止めて眺めてくれる。地区外の人が新品を寄贈してくれたこともあった」と語る。若い人手が減る中、風雨にさらされるこいのぼりの管理は苦労が絶えないという。それでも「こいのぼりが地域に人を呼び込んでくれる。多くの人に喜んでもらいたくて毎年春が楽しみなんだ」と笑った。

2010/08/16掲載

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