談話室

▼▽山本茂実が1968(昭和43)年に発表した著書「あゝ野麦峠」は、明治末期の製糸工場で過酷な環境に耐えて働いた出稼ぎ女性らの悲哀を描いた実話だ。大竹しのぶさん主演の同名映画を記憶している方も多かろう。

▼▽峠に群生する大型のササが稀(まれ)につける実を、地元で野麦と呼んだことが峠名の由来ともいわれる。映画は最後、病に倒れた主人公が兄に背負われ帰郷する道中、クマザサが覆う秋の峠で「ああ飛騨が見える…」と呟(つぶや)き息絶える。望郷の念や家族への愛が胸打つ名場面である。

▼▽銀幕では切なさを演出するクマザサも、本県で青々と茂るこの時期は笹巻きを思い出させる。本来、端午の節句を祝う伝統食だが、ササが育つ6月に作る家も多い。三角巻き、たけのこ巻きなど地域で形や食感が違う。親から子や嫁、孫へと受け継がれる家庭の味でもある。

▼▽先日、県外に住む息子からスマホに催促が来た。「笹巻き送って」とわずか6文字。声ぐらい聞かせてほしいと文句を言いつつ家人の顔がほころぶ。山には立派なササの若葉がまだ茂っていた。古里を忘れずにいてね―。そんな親心と笹巻きをいっぱい詰めて送るとしよう。

(2019/06/26付)
最新7日分を掲載します。
  • 6月26日
  • ▼▽山本茂実が1968(昭和43)年に発表した著書「あゝ野麦峠」は、明治末期の製糸工場で過酷な環境に耐えて働いた出稼ぎ女性らの悲哀を描いた実話だ。大竹しのぶさん主演の同名映画を記憶している方も多かろう。 [全文を読む]

  • 6月25日
  • ▼▽ファイトマネーの合計は24億円超、38カ国に中継され世界中が固唾(かたず)をのんで観戦した。プロレスラーのアントニオ猪木とボクシングのヘビー級王者モハメド・アリによる異種格闘技戦が、43年前の6月26日に行われた。 [全文を読む]

  • 6月24日
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  • 6月23日
  • ▼▽16回にわたるがんの手術やアルコール依存症、皇籍離脱発言など、皇族として異色の言動は数え切れないが、人間味のある人柄で多くの国民に愛された。7年前に亡くなられた「ひげの殿下」、三笠宮寛仁(ともひと)さまである。 [全文を読む]

  • 6月22日
  • ▼▽今年のサクランボの具合はどうか、東根市の直売所をのぞいてみた。既においしそうに色づいたパック詰めの近くに、サクランボのかぶりものが置いてある。かつて知事ら県幹部がPRのため率先垂範したあれである。 [全文を読む]

  • 6月21日
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  • 6月20日
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