談話室

▼▽「この間頼んでおいた書類まだ?」。職場の若い後輩に聞いたら「ほぼほぼできています」。こんな答えが返ってきた経験をお持ちの方も意外に多いのではないだろうか。最近は国語辞典にも載る「ほぼほぼ」である。

▼▽でも「ほとんど終わりです」なのか「仕上がりまでもう少し時間がかかります」なのか、ニュアンスをくみ取るのは案外難しい。話し手によって意味合いが微妙に異なるからだ。日本語学が専門の今野真二清泉女子大教授が、研究室の20代大学院生2人に尋ねたことがある。

▼▽リポートを「ほぼほぼ完成」と表現する際の出来具合は? 「ほぼ」が到達率90%として「ほぼほぼ」は、片や完成により近い「95%」。ところがもう一方は「ほぼ」を下回る「85%」の意味で使っていると答えた。新しい言い回しだけにニュアンスの共有はまだのようだ。

▼▽つい最近もこの言葉を聞いた。大相撲春場所で奇跡の逆転優勝を果たした横綱稀勢の里関が、一夜明けた27日に臨んだ記者会見。13日目に負傷した左肩付近の痛みについて聞かれた横綱は「ほぼほぼないです」。ここはもちろん、痛みは100%近く消えていると信じたい。

(2017/03/31付)
最新7日分を掲載します。
  • 3月31日
  • ▼▽「この間頼んでおいた書類まだ?」。職場の若い後輩に聞いたら「ほぼほぼできています」。こんな答えが返ってきた経験をお持ちの方も意外に多いのではないだろうか。最近は国語辞典にも載る「ほぼほぼ」である。[全文を読む]

  • 3月30日
  • ▼▽作家梶井基次郎は短編小説「桜の樹の下には」の中で桜の樹の下には屍体(したい)が埋まっている!と書いた。「これは信じていいことなんだよ。何故(なぜ)って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか」[全文を読む]

  • 3月29日
  • ▼▽森繁久弥さんは徳島県の海辺の町で1946年の昭和南海地震に遭った。旅館離れの3階で就寝中。はだしで外に出ると「津浪(つなみ)が来たぞ!」の声。腰が抜けて立ち上がれない。誰かが引っ張り上げてくれ、命拾いした。 [全文を読む]

  • 3月28日
  • ▼▽4月から給料アップを期待するサラリーマン諸氏はこの種のニュースに敏感だ。新年度に向け、労働組合が会社側と行う「春闘」。現在の春闘方式は1956(昭和31)年に始まったといわれ、60年以上の歴史がある。 [全文を読む]

  • 3月27日
  • ▼▽江戸時代の中期、史上最強とも目される伝説の力士がいた。雷電(らいでん)為右衛門(ためえもん)。20年余りの現役時代、負けたのは僅(わず)か10回、勝率96.2%。あまりの怪力ぶりに張り手、突っ張り、かんぬきの三つの技を禁じられたという。 [全文を読む]

  • 3月26日
  • ▼▽哀愁を帯びたシャンソンが静かに流れる、酒田市立資料館の没後25年展。2度目のレコード大賞歌唱賞に輝いた代表曲はセンバツの入場行進曲になり、その曲名が古里酒田のホール愛称にもなった。岸洋子さんである。 [全文を読む]

  • 3月25日
  • ▼▽「奇跡」の“再会”だった。「偶然」も重なった。蓮池薫さんが北朝鮮で翻訳の仕事のため、送られてきた日本の新聞をめくると、拉致被害者家族会結成時の写真が載っていた。必死に両親の面影を探した。「いた!」[全文を読む]

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