談話室

▼▽作家梶井基次郎は短編小説「桜の樹の下には」の中で桜の樹の下には屍体(したい)が埋まっている!と書いた。「これは信じていいことなんだよ。何故(なぜ)って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか」

▼▽桜の話ではない、一瞬ドキっとさせられるその表現だ。文中に爆弾が登場する代表作「檸檬(れもん)」にも通じる。果物屋で買ったレモンを書店で積み重ねた本の上に置いて立ち去り、それが爆弾であることを夢想する。青春期の鬱屈(うっくつ)した心情を描いた1925(大正14)年の作だ。

▼▽写真家浅井慎平さんがテレビでこの檸檬と、テロ等準備罪を含む組織犯罪処罰法改正案、いわゆる共謀罪に触れていた。国会で審議中の法案。犯罪は実行されて初めて罰せられるのが普通だが、2人以上で重大な犯罪を計画したと認められれば実行前でも処罰の対象になる。

▼▽人のイマジネーションの世界まで介入されまいか、浅井さんは懸念する。梶井の作品は1人の空想で、いくら何でも対象外だろうが、爆弾の記述にはドキっとする。色彩感のある情景描写で“檸檬爆弾”を浮かび上がらせた傑作も、発表したのが今の時代でなくて良かった?

(2017/03/30付)
最新7日分を掲載します。
  • 3月30日
  • ▼▽作家梶井基次郎は短編小説「桜の樹の下には」の中で桜の樹の下には屍体(したい)が埋まっている!と書いた。「これは信じていいことなんだよ。何故(なぜ)って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか」[全文を読む]

  • 3月29日
  • ▼▽森繁久弥さんは徳島県の海辺の町で1946年の昭和南海地震に遭った。旅館離れの3階で就寝中。はだしで外に出ると「津浪(つなみ)が来たぞ!」の声。腰が抜けて立ち上がれない。誰かが引っ張り上げてくれ、命拾いした。 [全文を読む]

  • 3月28日
  • ▼▽4月から給料アップを期待するサラリーマン諸氏はこの種のニュースに敏感だ。新年度に向け、労働組合が会社側と行う「春闘」。現在の春闘方式は1956(昭和31)年に始まったといわれ、60年以上の歴史がある。 [全文を読む]

  • 3月27日
  • ▼▽江戸時代の中期、史上最強とも目される伝説の力士がいた。雷電(らいでん)為右衛門(ためえもん)。20年余りの現役時代、負けたのは僅(わず)か10回、勝率96.2%。あまりの怪力ぶりに張り手、突っ張り、かんぬきの三つの技を禁じられたという。 [全文を読む]

  • 3月26日
  • ▼▽哀愁を帯びたシャンソンが静かに流れる、酒田市立資料館の没後25年展。2度目のレコード大賞歌唱賞に輝いた代表曲はセンバツの入場行進曲になり、その曲名が古里酒田のホール愛称にもなった。岸洋子さんである。 [全文を読む]

  • 3月25日
  • ▼▽「奇跡」の“再会”だった。「偶然」も重なった。蓮池薫さんが北朝鮮で翻訳の仕事のため、送られてきた日本の新聞をめくると、拉致被害者家族会結成時の写真が載っていた。必死に両親の面影を探した。「いた!」[全文を読む]

  • 3月24日
  • ▼▽「それまでは誰も賛同者がいなかったのに、市民はオープンした瞬間がらっと変わったんです。これってイケてるんじゃないかって」。2001年に誕生した仙台市の複合文化施設「せんだいメディアテーク」の話だ。 [全文を読む]

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