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【海坂藩の風景】たそがれ清兵衛 鶴岡・由豆佐売神社

2017年04月06日
朋江と清兵衛の娘らを前に、神楽が演じられた場所=鶴岡市湯田川(イラストは登場人物のイメージ)
朋江と清兵衛の娘らを前に、神楽が演じられた場所=鶴岡市湯田川(イラストは登場人物のイメージ)
 「たそがれ清兵衛」の中盤、ヒロイン朋江(宮沢りえ)は清兵衛(真田広之)の娘を連れ、祭りに出掛ける。囃子に合わせ、ユーモラスに舞う獅子とひょっとこ。朋江らは沸き立つ農民に混ざり、神楽を楽しむ。嵐の前の静けさのようなこのシーンは鶴岡市湯田川の由豆佐売(ゆずさめ)神社で撮影された。

 撮影が行われたのは神社本殿への石段を上り切ったところにある少し開けた場所。3月下旬に訪ねると、まだ本殿前には雪の塊が残っていた。大きな木々に囲まれた境内に聞こえるのは鳥の鳴き声。多くの人が集まり、にぎやかだった撮影中の様子を想像した。

 撮影は2002年4月下旬に行われ、地元からも湯田川温泉神楽を含めエキストラが約70人参加した。現在、神社の宮司を務める今野悦郎さん(76)は当時、禰宜(ねぎ)の立場で撮影に対応。境内に手を加える際の判断を任された。時代設定に合わせて石段の手すりは竹で覆われ、参道沿いの電灯は、終了後戻す約束で、いったん取り除かれたという。今野さんは「エキストラで出た人たちは映画を見て『今自分の足が映った』なんて言っていたよ」と笑いながら振り返った。
(報道部・大坪千絵)

【たそがれ清兵衛】
 ▽監督=山田洋次
 ▽出演=真田広之、宮沢りえ(2002年)

温泉街を見守るようにある由豆佐売神社=鶴岡市湯田川
温泉街を見守るようにある由豆佐売神社=鶴岡市湯田川


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