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【海坂藩の風景】隠し剣鬼の爪 桜谷神社・鶴岡

2017年05月25日
 鶴岡市の金峯山登山口から程なく行った所にたたずむ桜谷神社。1630年ごろに建てられ、拝殿の奥にご神体を祭った本殿がある。「隠し剣鬼の爪」で謀反の首謀者となった狭間弥市郎(小沢征悦)が極刑で閉じ込められた座敷牢(ろう)として使われた。

 主人公は海坂藩の平侍・片桐宗蔵(永瀬正敏)。住み込みで奉公するきえ(松たか子)との純愛や友人・狭間との決闘を描き、下級武士の貧しくもすがすがしい生き方を表現した。

 同神社を管理する金峯神社の協力を得て、撮影後は元に戻すことを条件に拝殿を使用。トタン屋根にかやをかぶせ、格子戸を付け替えるなどした。鶴岡市のスタジオセディック庄内オープンセットを管理する「M&N CO(カンパニー)」社長で、当時、羽黒町職員としてロケ地選定に携わった丸山典由喜さん(50)は「実際に見ると小さいが、映画では大きな座敷牢に見えた。さすがだなと驚いたことを覚えている」と振り返った。

金峯山登山口から500メートルほど入った所にある桜谷神社。参道には杉並木があり、両脇に沢が流れており、幻想的な雰囲気が漂っている
金峯山登山口から500メートルほど入った所にある桜谷神社。参道には杉並木があり、両脇に沢が流れており、幻想的な雰囲気が漂っている
 参道へ一歩足を踏み入れると、杉並木に囲まれ、両脇を流れる沢の音だけが大きく響き渡る。市街地から車で約10分とは思えないほどの別世界。幻想的な雰囲気ではあるが、座敷牢のイメージが先行し、美しさよりも不気味さが勝ってしまった。しっかりさい銭を上げてから撮影したが、夕刻に一人での参拝は避けた方がいいかもしれない。
(鶴岡支社・木村友香理)

 【隠し剣鬼の爪】
 ▽監督=山田洋次
 ▽出演=永瀬正敏、松たか子(2004年)

弥市郎が極刑で座敷牢に閉じ込められたシーンが撮影された=鶴岡市・桜谷神社(イラストは登場人物のイメ―ジ)
弥市郎が極刑で座敷牢に閉じ込められたシーンが撮影された=鶴岡市・桜谷神社(イラストは登場人物のイメ―ジ)
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