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【海坂藩の風景】必死剣鳥刺し 玉川寺・鶴岡

2017年06月15日
海坂藩主の妾・連子が眠る寺で兼見三左エ門(左)と、連子に仕えたかつての女中が出会うシーンを撮影=鶴岡市・玉川寺(イラストは登場人物のイメージ)
海坂藩主の妾・連子が眠る寺で兼見三左エ門(左)と、連子に仕えたかつての女中が出会うシーンを撮影=鶴岡市・玉川寺(イラストは登場人物のイメージ)
 出羽三山の麓に位置する玉川(ぎょくせん)寺(じ)。鎌倉時代に開山し、風情ある庭園が国の文化財指定を受ける禅寺だ。「花のあと」「山桜」「隠し剣鬼の爪」といった複数の藤沢映画の撮影舞台となっている。46代目の斎藤広海(こうかい)住職(61)は「(庭園見学者に)どういうわけか墓参りのシーンが多い、って話すと笑いが起きる」といたずらっぽく笑う。

 「必死剣鳥刺し」では、海坂藩主の愛妾(あいしょう)連子の亡きがらが眠る寺として登場。庭園奥の旧開山堂前で撮影が行われた。主人公の兼見三左エ門(豊川悦司)が、かつて連子に仕えた女中と遭遇する場面。兼見は問い掛けに一切答えることなく立ち去る。斎藤住職は「(豊川さんには)ちょっと近づけない、張り詰めた雰囲気があった」と当時の様子を振り返る。旧開山堂の脇に大きな墓石が立つ。撮影で連子の墓に見立てたのだが、終了直後にスタッフが石段を踏み外して腕を捻挫するといったアクシデントもあったという。

 見事な日本庭園を誇る玉川寺は四季折々の花に囲まれることから「花の寺」とも呼ばれる。優しさと静けさが訪れる人を魅了してやまない。
(鶴岡支社・佐々木亨)

【必死剣鳥刺し】
 ▽監督=平山秀幸
 ▽出演=豊川悦司、池脇千鶴、吉川晃司(2010年)

玉川寺の入り口。山門をくぐり、その先の本堂裏に趣ある国指定名勝庭園が広がる。拝観料は大人400円
玉川寺の入り口。山門をくぐり、その先の本堂裏に趣ある国指定名勝庭園が広がる。拝観料は大人400円


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