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花のあと 庄内藩校致道館・鶴岡

2017年08月17日
江口孫四郎の仕事場として使われた(手前から)御次の間と御三の間=鶴岡市馬場町・致道館(イラストは場面のイメージ)
江口孫四郎の仕事場として使われた(手前から)御次の間と御三の間=鶴岡市馬場町・致道館(イラストは場面のイメージ)
 「個性伸長」と「自学自習」を重んじ、庄内藩士が学問に励んだ鶴岡市馬場町の庄内藩校致道館。「花のあと」では家老の詰め所であり、藩の会議が開かれた「御次(おつぎ)の間」などが、奏者番の家に婿入りした江口孫四郎(宮尾俊太郎)らの仕事場として使われた。真剣な表情で働く侍の姿に、約200年前の光景が思い浮かぶようだ。

 同館は庄内藩酒井家9代忠徳(ただあり)が1805(文化2)年に創設し、16年に現在地へ。73(明治6)年の廃校後は鶴岡警察署や小学校などに使われ、1951(昭和26)年に国の史跡に指定された。

 撮影は2009年4月。人気の観光名所ということもあり、ロケ場所への立ち入りを制限しながら一般公開した。当時、機材の搬入などに携わった鈴木晃社会教育課長(56)は「宮尾さんが、廊下で所作を繰り返し確認していたのが印象に残っている」と振り返る。

鶴岡の教育の原点である庄内藩校致道館。現在も「個性伸長」「自学自習」といった徂徠学の教えが根付いている
鶴岡の教育の原点である庄内藩校致道館。現在も「個性伸長」「自学自習」といった徂徠学の教えが根付いている
 同館統括文化財保護指導員の富樫恒文さん(69)は「致道館は鶴岡の教育の原点。藤沢さんの素晴らしい作品の撮影に使われてうれしい」と話す。今も同館では、子どもたちが江戸時代から伝わる「庄内論語」を素読しているという。勉学にいそしんだ庄内藩士の魂は、脈々と受け継がれていく。

(鶴岡支社・木村友香理)

【花のあと】
 ▽監督=中西健二
 ▽出演=北川景子、甲本雅裕、宮尾俊太郎(2010年)

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