【海坂藩の風景】蝉しぐれ 旧庄内藩主御隠殿・鶴岡

2017年11月02日
牧文四郎がお福さまの子をさらってくるように命じられた部屋=鶴岡市・致道博物館内「御隠殿」(イラストは場面のイメージ)
牧文四郎がお福さまの子をさらってくるように命じられた部屋=鶴岡市・致道博物館内「御隠殿」(イラストは場面のイメージ)
 こじんまりとした茶室。窓から差し込む光は穏やかだが、部屋の空気は張り詰めている。牧文四郎(市川染五郎)は家老の里村左内(加藤武)に呼び出されていた。里村はたてた茶を勧めると、欅(けやき)御殿に身を寄せている文四郎の幼なじみで、藩主の側室となったお福さま(木村佳乃)の子をひそかにさらってこいと命じた。父助左衛門(緒形拳)は藩のお世継ぎ争いで死罪になった。文四郎もまた、同じ争いに巻き込まれようとしていた。

 この場面は、鶴岡市の致道博物館内にある「旧庄内藩主御隠殿」の「三餘(さんよ)室」で撮影された。御隠殿は幕末の1863(文久3)年、藩主酒井家11代忠発(ただあき)の時代に、藩主の隠居所として江戸屋敷から移されたと伝わっている。現在は、酒井家に伝わる兜(かぶと)や書、絵が展示されている。

今回の場面で、窓から見える「酒井氏庭園」は、国の名勝に指定されている
今回の場面で、窓から見える「酒井氏庭園」は、国の名勝に指定されている
 三餘室は庄内藩中老の庵(いおり)で、1951(昭和26)年に奥座敷「関雎(かんしょ)堂」に隣接するように移築された。三餘とは中国の古語「冬は歳の余り、夜は日の余り、陰雨は時の余り」から取ったもの。博物館によると、書斎のような使われ方としていたらしい。普段は公開していないが「抹茶処(どころ) 関雎堂」でお茶を注文すると入室できる。窓の外の国指定名勝「酒井氏庭園」から鳥のさえずりが聞こえる。文四郎の茶は苦かったに違いない。それとも味を感じる余裕はなかったか―。そんなことを考えながら、抹茶と地元の銘菓を味わった。
(報道部・鈴木悟)

【蝉しぐれ】
 ▽監督=黒土三男
 ▽出演=市川染五郎、木村佳乃、緒形拳(2005年)
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