山形にフル規格新幹線を

ミニ新幹線の功罪(下) 観光面、経済効果大/財源確保へ負担額提案

2017年01月04日
県庁所在地以外として全国初の新幹線ターミナル駅となった新庄駅。年末は山形新幹線が多くの帰省客らを運んだ=2016年12月30日
県庁所在地以外として全国初の新幹線ターミナル駅となった新庄駅。年末は山形新幹線が多くの帰省客らを運んだ=2016年12月30日
 新幹線と在来線が相互乗り入れするという画期的な整備手法で注目を集めた山形新幹線。全国で初めて1992年に開業した山形―福島間の「新幹線直行特急」は、99年に実現した新庄延伸と合わせ、観光振興や企業誘致、沿線の開発など大きな経済波及効果を本県にもたらした。

 山形新幹線の開業から1年で上下線の総輸送人員は延べ300万人以上に上った。特に顕著だったのが観光面への影響で、県内への観光客総数は前年から約200万人増加して初の4千万人を突破。本県が会場となった92年の「べにばな国体」開催といった相乗効果もあり、本県の知名度は飛躍的に向上した。

 停車駅に設定された沿線自治体はいかに魅力ある地域づくりに取り組み、人を呼び込むかに知恵を絞った。山形駅にはショッピングセンターが入る駅ビルを新設。自由通路が開通し、長年の課題となっていた駅西口開発に道筋を付けた。上山市では地元商工会が中心となって1億円造成事業に取り組み、開通に合わせた駅舎完成と12往復の停車を実現した。

 米沢市は置賜広域観光案内センターを合築した新米沢駅をオープン。駅前広場や駅東地区の開発、さらに駅と八幡原中核工業団地を結ぶ新たな道路を整備するなど、周辺エリアの一体的な都市化を推進した。

 山形新幹線の新庄延伸は最上・北村山地区を高速交通圏域に取り込んだ。山形―新庄間の1日平均利用者数は、特急「こまくさ」が運行していた前年に比べてほぼ倍増。新庄駅には県庁所在地以外として全国初の新幹線ターミナル駅が設置された。沿線地域では、県が造成し、98年に分譲を開始した東根市の大森西工業団地に99~2001年、立て続けに5社が進出するなど、延伸効果が企業進出の動きにも表れた。

 尾花沢市の銀山温泉は、ガス灯の明かりに照らされた雪景色がJRのポスターに採用されるなど旅情を誘うPR戦略が奏功し、延伸初年度は全館満室の日が年間50日以上増えるほどに繁盛した。

 数々の恩恵をもたらした山形新幹線。一方で、開業初年度に4千万人を突破した観光客数は景気低迷などの影響もあり、その後は観光キャンペーン「山形デスティネーションキャンペーン」など大型イベントが相次いだ14年度まで一進一退の状況となった。

 また、恩恵は沿線地域によって濃淡があったことも事実。例えば最上・北村山地域では銀山温泉が「一人勝ち」と評された。他の温泉街には目立った効果が見られず、観光関係者からは広域連携の重要性を訴える声が上がった。フル規格化を見据えたとき、いかにその効果を最大限に、そして継続的に生かすかという視点は、新幹線直行特急が県民に与えた大きな教訓ではないだろうか。

 金山町長を7期務め、新庄延伸の一翼を担った元参院議員の岸宏一氏は、最高速度500キロを見込むリニア中央新幹線の大阪延伸が前倒しされたことに触れ、「ミニ新幹線の時間的優位性は失われている。今はフル規格を求めなければならない時代」と指摘する。フル規格新幹線を実現する上では「現在の新幹線直行特急とは違い、(時間短縮やルートの関係で)停車しなくなる沿線自治体も出るだろう。沿線住民の理解と協力をいかに得るかが大切になる」と語る。

 整備新幹線の建設単価は1キロ当たり80億~100億円という試算もあり、岸氏は財源確保の重要性を強調する。「国に対し、『地元として何百億円を負担する』といった提案型のアプローチが必要になる。(県と沿線自治体に)その『覚悟』があるかだ」

(「山形にフル規格新幹線を」取材班)

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