山形にフル規格新幹線を

克服(5)整備予算 確保へ要望活動強化

2017年01月09日
道路と比べ、少なさが指摘される新幹線の整備予算も大きな課題になる=米沢市・JR峠駅
道路と比べ、少なさが指摘される新幹線の整備予算も大きな課題になる=米沢市・JR峠駅
 フル規格の奥羽、羽越両新幹線を早期実現する上で、整備予算が最大の壁となる。政府の2017年度予算案に計上された整備新幹線の事業費は755億円。フル規格新幹線は一般に1キロ当たり80億~100億円程度の整備費が必要とされ、地元負担分を加えた予算全額を一つの路線に投じても、1年間で整備できるのは10キロ区間程度。地形やトンネル、橋などの構造物によって整備単価は変動するが、山形―福島間(延長87.1キロ)のフル規格化には、単純計算で7千億円規模の財源が必要になる。

 新幹線は、国土交通相の指示に基づく「整備計画策定に向けた調査」を受けて整備計画が決まり、工事実施計画の申請、認可を経て着工される。現在の整備費負担は、国が3分の2、地元自治体が3分の1。地元負担軽減の交付税措置もある。鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄運機構)が施設を建設・保有してJRに貸し付け、JRが貸付料を支払うスキームとなっている。

 県のまとめによると、北陸新幹線の長野―金沢間(延長231.1キロ)の整備費は総額1兆7801億円で、1キロ当たりの整備費は77億円。東北新幹線延伸の盛岡―新青森間(同175.7キロ)は総額9112億円で、1キロ単価で51.9億円を投じた。北海道新幹線の新青森―新函館北斗間(同148.3キロ)は総額5783億円、1キロ単価で39億円。青函トンネルが当初から新幹線仕様だったため、1キロ単価がほかの2路線よりも低いという。

 政府の17年度予算案に盛り込まれた新幹線整備費は755億円。過去10年間、700億円台で推移している。15年の政府・与党申し合わせに基づき、予算計上され、主な内容は▽北海道新幹線・新函館北斗―札幌間は5年前倒しの30年度末の完成、開業を目指す▽北陸新幹線・金沢、福井、敦賀間は3年前倒しの22年度末の完成、開業を目指す▽九州新幹線・武雄温泉―長崎間はフリーゲージトレインの技術開発を推進し、完成、開業を22年度から可能な限り前倒し―となっている。

 さらに、リニア中央新幹線の早期全線開通を図るとして財政投融資1兆5千億円が計上されている。財投は、国が調達した資金を、政府系金融機関などを通じて供給する仕組み。安倍晋三首相は昨年7月、マイナス金利政策の効果で資金調達コストが下がった財投を活用し、リニアの大阪延伸を最大8年前倒しすることや、整備新幹線の建設を加速することを正式表明した。

 縮小基調にあった財投の活用方針を踏まえ、早期実現を求める動きが全国で活発化している。福島県で昨年8月に開催された山形・新潟・福島3県知事会議で、吉村美栄子知事が奥羽、羽越両新幹線の整備促進に向けた連携強化を提案した。これを受け、当時の泉田裕彦新潟県知事は「北陸新幹線は、財政をどうするかが大変だった。財投で事業環境は動いてきている。声を上げるにはいい時期だ」と反応。内堀雅雄福島県知事は「3県連携で検討を進めよう」と応じた。

 新幹線と在来線を併用する山形新幹線は、工事期間短縮、コスト削減の両面で優れていた。山形―福島間は工期約4年で総事業費559億円。このうち県支出金は46億円で、1キロ単価は6億4千万円だった。新庄延伸は工期約3年で総事業費343億円。県支出金は139億円で、1キロ単価5億6千万円と、フル規格に比べ事業費を大幅に圧縮した。

 奥羽、羽越両新幹線のフル規格化は、巨額の予算を伴う。道路特定財源のような新たな財源創出の議論も必要になってくるだろう。吉村知事は知事選で3選後、「政府予算は道路と比べてあまりにも少ない」と指摘。「予算枠を現在の2倍にすれば、20年かかるものが10年でできる」とし、要望活動を一層、強める考えを示した。
(「山形にフル規格新幹線を」取材班)

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