県民500人アンケート(中) 「速度」感覚、地域間で差~山形にフル規格新幹線を|山形新聞

山形にフル規格新幹線を

県民500人アンケート(中) 「速度」感覚、地域間で差

2017/10/7 16:04

 山形新幹線に関する本紙の県民500人アンケートで、フル規格化への賛否は、地域による傾向が顕著に表れた。置賜地方は4地域で唯一、反対が賛成を上回り、最上地方は反対者がゼロだった。東京までの所要時間は両地域で1時間弱の差があり、「速度」への感じ方に違いを与えていることが、数字に浮かび上がっている。

 置賜は回答者66人のうち中立9人を除き、29人が反対の意見で、28人が賛成の考えを示した。反対の割合は44%に上り、庄内38%、村山22%、最上0%だった4地域の中で最多だった。

 この傾向は「機能強化・改善要望」のアンケート結果からも見られた。▽速度▽料金▽本数▽乗り心地▽運休減―の5項目から複数回答を得たところ、村山、庄内、最上はいずれも「速度」が最多だった。これに対し、置賜のみがトップは「料金」、次いで「本数」に集まり、速度は二の次となった。

 米沢―東京は所要時間2時間10分台で、停車は2~5駅となる。置賜地方の具体的な声として、「在来線を走らせるのが危険だから安全の確保を」「雪の影響を受けやすいからこの区間の改良は必要」「冬期間の機動力を考えると(フル規格が)必要」などと、踏切事故や天候などへの対策に関心が高かった。

 一方の最上では、「止まる駅を少なくしてほしい」という真室川町の会社員男性(39)や最上町のアルバイト女性(31)の声が実情を映す。新庄―東京間は3時間半を要し、到着まで最多14駅で停車する。県内各駅で停車しながら進む「速度」に対し、スピードアップへの切望が見て取れる。

 地域別でみると、回答のうち「速度」への要求割合が最も高かったのは村山地域の55・4%だった。仙台市からの東北新幹線、山形空港からの空路などとの比較で、劣性を実感しやすいためとみられる。

 具体的な意見で顕著だったのは「仙台」というキーワードだ。JR仙台駅から東北新幹線に乗車した場合との比較で「速度」に触れる声が多く、「精神的に楽」「気分的に速い」と実際に仙台経由を利用する人が目立つ。山形市による仙山連携など県境を越えた広域連携が注目される中、仙台市と比べた快適性や利便性、競争力などを意識した要望と捉えられそうだ。尾花沢市の自営業男性(52)からは「(フル規格は)山形―仙台が現実的ではないのか」との提案もあった。

 同じ高速化への要望、意見でも、庄内地方では山形新幹線の延伸が前提となっている。酒田市の会社員男性(37)は「東京出張で急いでいる時は飛行機か車。新幹線は新潟経由。フル規格となっても新庄での接続が悪ければ意味がないので、フル規格にするならば庄内延伸とワンセットだ」と主張する。同市のアルバイト女性(47)は「フル規格より先に庄内延伸してほしい。福島県への帰省で、新庄での乗り換えに時間がかかるので山形駅まで車で行って新幹線に乗ることもある」と述べた。

 スピードアップへの改善は、新幹線フル規格化の賛否にかかわらず、回答者のほぼ半数に当たる244人が求めていた。その手法についてはフル、トンネル整備、仙山線強化など居住地における視座でさまざまな意見があり、山形市の会社員男性(29)は「速度アップの対策をすればこだわらない」と話している。

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