連載企画大人の発達障害■悩みと希望と−県内のケース (2) アスペルガー症候群
2008年01月21日 掲載
障害者の生活や就業をサポートする機関は、相談する場の少ない大人の発達障害者にとって大きな支えだ=山形市・村山障害者就業・生活支援センター「ジョブサポートぱる」、写真と本文は直接関係ありません
人付き合いがひどく苦手で、親しい友人もできず、不安感がますます真由美さんを孤立させる。なのに、表情は涼しい。「感情の出し方や助けの求め方が分からなかった。『何も感じてない子』に見られていたと思う」 1年の夏休み後、父に打ち明け、心療内科に通ったが、薬が増えるばかりで、うつ状態は悪化した。「自分の我慢が足りないんだ」。必死で高校には行き続けたが、保健室通学や早退が増え、別の医療機関に入院。発達障害(アスペルガー症候群)と診断された。 「発達障害って? わたし障害者なの?」。初めて耳にする言葉に戸惑った。 昔から、何だかうまくいかなかった。5歳になるまで、1人では一歩も家から出られず、他人が来ると逃げ出すような子だった。特定の友達とは仲良くできるが、ほかの子から話し掛けられると答えられない。小学校では、それを先生から注意され、中学校でもつらい毎日を送った。 「過保護に育てられたせいだ」。発達障害が脳の機能に起因することを知らず、家族の育て方を恨んだ。つらさは募り、高校を中退した。 これからどうしよう−。自宅にこもり、少し落ち着いたころ、電話帳とパンフレットを調べ、これから入れる専門学校を見つけた。そこには、自分と同じように、人付き合いが苦手な子やつらい学校生活を送った子たちがいた。 「わたしだけじゃない」。友達付き合いに無理をしなくてもよかった、学校に来るだけで精いっぱいの状態を先生たちが理解してくれた。妙にほっとして、障害のある自分を「これでいい」と思えるようになり、障害のことも正しく知るようになった。 3年通った専門学校を卒業し、職業訓練を受けながら、求職活動を続け、この冬、専門学校で身に付けた技術を生かせる職場で実習をしている。「急な変化に弱い」「対人関係、大きな声や音が苦手」。実習先の責任者が、アスペルガー症候群を理解しようと、同行したカウンセラーの話を一生懸命聞いてくれたことがうれしかった。 真由美さんは、高校時代を振り返り「助けの求め方、言い方を知っていたら楽だったろうな」という。「働く」という新しい世界に不安と期待が入り交じる。障害と自分の特性が理解されず、また苦しくなったら−。「今度はうまく言えればいいな」 県発達障がい者支援センター(上山市)によると、電話や来所による相談件数は2007年、1371件に上った。05年10月の開設から次第に成人の相談者が増えており、07年4月以降の来所相談者のうち、約20%を19歳以上が占めている。障害が理解されず、いじめなどのつらい体験を重ねたために引き起こされた「2次障害」に関する相談は、高校生や成人に多いという。2次障害は、不登校や引きこもり、うつ病、暴力行為などの形でも表れる。 (報道部・烏美紀子) 大人の発達障害 記事一覧
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