県内 ご当地味覚

県内 ご当地味覚

「県内 ご当地味覚」では、県内各地に伝わる食材や伝統料理について、その由来と栽培・調理法、味わい、旬の時期などを紹介していきます。

雪菜の冷や汁 独特の辛味、正月の定番

 米沢藩の陣中料理として広まった「冷や汁」は、具だくさんの汁を季節の野菜にかけて食べる伝統的な郷土料理。米沢市特産の「雪菜」が出回る冬季は、独特の辛味と歯触りのある雪菜のふすべ漬けを使った冷や汁が家庭の味として食卓に上る。

 米沢では、合戦の出陣式で武将が配下の家臣に振る舞ったと伝えられる。藩財政立て直しのため、米沢藩9代藩主上杉鷹山が質素な食事として「一汁一菜」を一緒にした冷や汁を広めたという説もある。明治以降、雪菜が盛んに生産されるようになると、雪菜の冷や汁は正月料理の定番となった。

 干ししいたけと干し貝柱、しみこんにゃくを水で戻し、しいたけ、こんにゃくは細切りにし、貝柱は細かくほぐす。しいたけと貝柱の戻し汁はだしとして使い、切った具材と一緒に鍋に入れて火にかける。しょうゆで味付けし、ひと煮立ちしたら火を止め、冷蔵庫などで冷やす。雪菜のふすべ漬けの上から冷や汁をかけ、打ち豆などを飾り付ければ完成だ。

 冷や汁の味は各家庭で受け継がれ、具材もさまざま。上長井雪菜生産組合の佐藤了組合長の妻幸子さん(57)は「誰に教わるでもなく、義母の冷や汁を見よう見まねで覚えた」と話す。雪菜が出回るのは3月末まで。市内では調理講習会も盛んに開かれている。

 【材料】4人分は、雪菜のふすべ漬け150グラム、干ししいたけ2個、貝柱少々、しみこんにゃく1枚、打ち豆ひとつまみ。しみこんにゃくの代わりに油揚げやしみ豆腐を使うこともある。雪菜のふすべ漬けは食品スーパーなどで販売しており、150グラム入りで500円程度。
2010年02月09日 掲載
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