県内 ご当地味覚

県内 ご当地味覚

「県内 ご当地味覚」では、県内各地に伝わる食材や伝統料理について、その由来と栽培・調理法、味わい、旬の時期などを紹介していきます。

ナス干しの煮物 冬場の野菜不足を補う

 ナスを7~8ミリの厚さに縦に切り、天日で干した「ナス干し」。冬の保存食として昔から親しまれ、山形弁で「1年分の借金をなす(返す)」に通じるとして、ナス干しの煮物は、特に正月に欠かせない料理とされてきた。

ナス干しの煮物
ナスの甘みが食欲をそそる「ナス干しの煮物」。左はナス干し
 調理をお願いしたのは山形市食生活改善推進協議会の大場州子(くにこ)会長(67)と寒河江たつこ副会長(61)。乾燥したナス干しは軟らかく戻す下処理が必要だ。水に入れて沸騰させてから火を止め、一晩ほど置いた後にゆで汁を捨て、きれいになるまで水を取り換える。

 ニンジンを拍子木切り、下ゆでしたこんにゃくを薄い短冊切り、さつま揚げを薄切りにした後、油を入れて熱した鍋でナス干し、ニンジン、こんにゃくを炒め、だし汁とさつま揚げをまぜて煮込む。さらに砂糖、しょうゆ、酒、みりんを入れる。ニンジンが軟らかくなった頃合いを見て火を止め、10~15分間蒸らすと、うま味が具に染み込む。

 ナス栽培が盛んな山形市大郷地区に住む寒河江副会長は「ナスの花は全て実になることから『親の意見とナスの花は万が一にも無駄がない』と言われている」と語る。大場会長は「もともとは冬場の野菜不足を補う料理。ナス干しに含まれるビタミンDはカルシウムの吸収率を高める効果もある」と話す。

材料】4人分はナス干し40グラム、ニンジン40グラム、平こんにゃく150グラム、さつま揚げ70グラム、油大さじ1、だし汁400ミリリットル、砂糖大さじ1、しょうゆ大さじ2、酒大さじ2、みりん大さじ2。

2011年2月8日 掲載
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