国会前庭の緑豊かな敷地に足を踏み入れると、議員らが分刻みのスケジュールで動く慌ただしい国会のことを忘れてしまいそうになるほど、穏やかな時間が流れている。
憲政記念館があり洋風とされる北地区、あずまやと池を配した和風の南地区で構成され、合わせた広さは約5万5千平方メートル。東京ドーム建築面積の約1.2倍に当たる。
若いカップル、中高年の観光客らが遊歩道を巡り、池に放たれたコイを静かに眺める。耳を澄ますと、小川の上流からせせらぎが聞こえる。
永田町と霞が関で勤務する国家公務員らにとっては憩いの空間で、「永田町のオアシス」と称される。昼休みになると、衆参両院事務局と省庁から多くの職員が訪れ、ランチタイムを楽しむ。
高さ31.5メートルの時計塔は三面塔星形で、前庭のシンボル。立法、行政、司法の三権分立を表しており、午前10時、午後1時、同5時にチャイムが30秒響き渡る。
午後1時を知らせるチャイムが鳴るころには、もう既に公務員らの姿はほとんどなく、庭園は再び静寂に包まれる。
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