やまがた農新時代

第2部・冬と雪(4) 庄内の軟白ネギ

2014年03月19日
立派に育ったネギを手に笑顔を見せる伊藤鉄也さん。すらりと伸びた軟白部分が目を引く=鶴岡市下川
立派に育ったネギを手に笑顔を見せる伊藤鉄也さん。すらりと伸びた軟白部分が目を引く=鶴岡市下川
 冬場のビニールハウスの有効活用と農閑期の収入源として、庄内地方で近年盛んに生産されている作物が、真冬に収穫の最盛期を迎える軟白ネギだ。露地ネギのように土寄せを行わず、黒い遮光シートで「白根」と呼ばれる茎部分を覆い、長く伸ばすのが特徴。露地ネギに比べて辛味がマイルドで、土寄せの余分なストレスがかからないために柔らかく仕上がる。

■出荷量は年300トン
 元は北海道の栽培法。本県では遊佐町で1991年に導入されたが、初めはなかなか広がらなかった。県庄内総合支庁農業技術普及課産地研究室、JA、生産者が3年かけて新地域ブランド技術確立実証事業として取り組み、適応品種の選定、低コスト化、曲がり防止、病害虫対策といった課題をクリア。2002年度から本格栽培に入った。

 330平方メートル(100坪)のビニールハウスなら、資材や機械などの初期投資は300万円ほどかかるが、一度購入すると長く使える上、もともと涼しさを好む作物なので光熱費が安く済む。砂丘メロンの後作として、特に鶴岡市西郷地区に普及し、最近では同じ砂丘地の酒田市浜中地区でも広がりを見せている。稲作と時期が重ならないため、平地の畑でも作付けが拡大。庄内全体の作付面積は02年度の1.2ヘクタールから13年度には11.7ヘクタールまで増え、出荷量はここ数年300トン前後で推移している。

■年中農業が可能
 鶴岡市茨新田の伊藤鉄也さん(61)は、11年前に先輩に誘われたことがきっかけで軟白ネギ栽培を始めた。冬場に出稼ぎに行かず、地元で一年中農業ができるようになったという。

 伊藤さん方の収穫は11月に始まり、翌年3月まで続く。気温5度ほどのハウス内には、長さ1.3~1.4メートルほどに育った軟白ネギが14列、50メートル先まで延び、出荷を待っていた。何かと嫌がられる冬の寒さだが、「寒さが甘味を引き出す。寒さが厳しい日には、葉に白い粉(ブルーム)を吹いていることがあり、なめると甘い」と話す。

■出荷追い付かず
 軟白ネギはここ4、5年高値で取引される人気商品になっている。関東の市場からの引き合いは増えているが、出荷が追い付いていないのが現状という。

 JA鶴岡長ねぎ専門部は、新規作付けを考えている生産者向けの研修会を毎年開いている。部会長でもある伊藤さんは、パイプハウスや資材に対して2分の1が助成される県の補助事業に触れ「助成がないと(研修会だけでは)新規作付けはなかなか難しい。意欲ある生産者のためにも、ぜひ助成枠を増やしてほしい」と要望する。

 また、栽培や販売の面で優位性を保つため、庄内地方を将来的に軟白ネギの産地として一本化することが欠かせないと考える。「生産者が増え、JAごとに異なる栽培・食味・出荷基準を統一できれば、一本化もあり得る。ただ、けん引役がいないというのが一番の問題。生産者を引っ張っていってくれる存在であれば、誰でもいいというのが本音なのだが」とため息交じりに話した。
(「やまがた農新時代」取材班)
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